三沢死す

 新聞やネットニュースで「三沢、死す」とか「三沢が死んだ!」という文字を見ると、ただ単に対戦相手にボロカスにやられて試合に負けたことをスポーツ紙が誇張して書いているだけで、結局次の日はピンピンしてまた試合に出場しているんではないかという気がしてしまう。特にタイトルマッチの前哨戦なんかでは、期待感を煽るためにそういう展開が多いのだ。

 馬場、鶴田、橋本、冬木、荒井社長と何人もの名レスラーが亡くなってしまったが、オレの世代のプロレスファンはこの三沢光晴の死には過去最高に衝撃を受けていると思う。全盛期には、オレもプロレスラーでヒクソンやヒョードルに勝てる奴は三沢しかいないと思っていた。小橋がいつの間にかなんかもう宇宙一くらいの強さになっている気がするのに、それでも三沢にはなぜか勝てない気がしてしまうのだ。三沢×小橋の三冠戦ほどの、見てる方が「やめてくれーーーもう死んでしまうーーー!!」と叫ぶような壮絶な試合というのは他のレスラーでは、また過去にも未来にももう無いのではなかろうか。

 小橋もそうだが、川田やウィリアムスや鶴田などのバックドロップで一般人ならもう1万回くらい死ねるほど脳天から落とされまくっている三沢が、バックドロップで本当に死んでしまうというところがなんというかたまらない気持ちだ。社長になってからはともかく、一時は古今東西の過去も含めたあらゆる格闘家の中で三沢が最強だと思っていたので、試合中に命を落とすということもあいまって、オレにも同世代の人々にもこれは自分のプロレスファンとしての歴史上最大にショックを受けた事件となるはずだ。

 三沢への思いや訃報のショックなどはもう同胞であるファンの方たちがmixiの日記やブログで散々に書いているので、オレはこの程度にしておいてでもちょっとしたことだけ書いておこう。昔思ったことを。

 ノアになってからやや足が遠のいたが、全日時代にはオレは地元でも東京でも何度も会場まで試合を見に行っていた。ある時、もう馬場さんが亡くなって三沢が社長だった時、日本武道館で行われた「シングル夢の5大決戦」というような企画があった。

 馳×田上、三沢×高山(善廣)、小橋×グラジエーター、秋山×大森、川田×ベイダーというどれもかなり実力拮抗している5試合だ。

 しかしカードを発表してチケットも発売し、オレも既にチケットを手に入れている結構イベント直前の時期に、川田が骨折かなにかで試合に出られなくなってしまった。

 この5試合では、川田×ベイダーというのはメインに相当する試合である。それが潰れてしまい当然チケットを買ったファンは不満、川田の代わりを立てようにもベイダーと戦えるクラスの選手はみんな既に他の試合が決まっている。

 そこで、三沢社長が選んだ道はなんであったか。それは、自分が2試合やる、つまり三沢は高山と1試合戦った後に、川田の代役として自分がベイダーとも試合をするという決断をしたのだ。

 これは、相当に無茶なことである。実際、最初の相手もあの高山だ。全然手加減しないしあらゆる攻撃が容赦なくて、うわ、三沢は負けるんじゃないか?? と見ていて思ったほど凄い荒れた試合になった。とはいえ、まだ当時は発展途上だった高山なのでなんとかその試合は、なんとかという感じで三沢が勝ったのである。

 そして、数試合あけてからベイダーとの試合だ。いつものようにスパルタンXのテーマが流れて、三沢が入場。この時三沢は上着を着ずに前の試合が終わったままの姿、上半身裸で、2階席にいたオレのちょうど下のあたりからリングに向かって入場して行った。

 その背中を見て、オレはジーンときてしまったのである。なにしろ、敵はベイダーだ。これが1試合目だとしても、日本のプロレスラーの中でベイダーが待つリングに上がって行ける勇気と闘志を持つ者はあまりいないはずだ。小物レスラーだったら、ベイダーなんかと試合をしたら真剣に命の心配がある。ましてやオレともなると、ベイダーハンマー(ラリアットみたいな技)一撃で殺される自信があるぞ。たしか全日に登場し初めて三沢と対戦した時も、あっさりベイダーは三沢を叩きのめして三冠ヘビー級のベルトを奪っていた。

 だが、そんな恐ろしい相手にもかかわらず、三沢は既に高山に散々に痛めつけられてダメージと疲労で弱った状態で、しかし堂々と入場して行ったのである。スパルタンXのテーマを聞きながら、その三沢の背中を見てオレは男というものを知らされた。これが社長の責任というもの、そしてこれが三沢の生き方なのだと。今でもあのシーンのことは忘れられないのだ。

 以上です。

 

おさみしいです

 最近ビリーズブートキャンプを始めるのが楽しみになっている。また今日もビリーに励ましてもらえると思うと、ビリーの娘をはじめとしたチームメイトたちと一緒に頑張れると思うと、なんだかワクワクしてくるのである。たとえブラウン管の中といえども、人に声をかけられるのがうれしい。ブラウン管の外では牛丼屋とかファーストキッチンのバイト店員にしか喋りかけられないから。それも「ご注文おきまりですか」「店内でお召し上がりですか」などと、いつもいつも他人行儀な内容だけだ。心の通い合う会話なんて、そんなものがこの世に存在するということはもう大人になってから信じなくなったさ。ちなみに通信販売の戦略に乗せられて、ブートキャンプDVDだけでなく運動に最適なヨガマットも購入したよ。敷くスペースなんてどこにもないのに……。

 さみしい話はいいんだよ。誰も同情してくれないんだから。話を変えよう。今日は日本語版(正規品)ビリーズブートキャンプの、「ビリー隊長のセリフでオレが好きなものベスト7・基礎プログラム編」を発表しようと思う。毎日毎日、山のようなリクエストをもらっていたので、やっと期待に応えられてベスト7を発表できてうれしい。日本中、誰もかれもがビリー隊長のセリフでオレが好きなものベスト7・基礎編を聞きたいと思うので、今夜は存分に楽しんでもらいたい。

 では発表します。ジョキジョキジョキ……(結果が書かれている紙の封を切る音) 平成19年、第19回「ビリー隊長のセリフでオレが好きなものベスト7・基礎プログラム編」は、以下の通りです!

 第7位「子持ちのママもいるけど、みんながんばってるね」

 第6位「音楽がスローになった」

 第5位「テーブルみたい」

 第4位「残り1セット!」

 第3位「バンドなしで参加しているブリジェットを見てみよう」

 第2位「ストップといったらキープして!」→「8カウントでキープ」

 第1位「これは何のトレーニング?」「筋トレ!」「え? 何だって?」「筋トレ!」「違う!ブートキャンプトレーニングだろ!!」→「何トレ?」「ブートキャンプ!!」

 以上となります。

 少しブートキャンプ解説者の私から内容について補足しましょう。まず7位から5位に関しては、基本的に「腕立てランナーだ!」とか「膝を曲げて!」とか命令形でしか物を言わないビリー隊長がいきなり少しかわいい口調になるのがおかしいのです。厳しいビリー隊長から「子持ちのママ」とか「みんながんばってるね」とかいう言葉が出てくるのがおかしいし、「テーブルみたい」「音楽がスローになった」に関してはそれがどうしたと言いたくなってしまいます。「音楽がスローになったから、ゆっくり動こう!」とかならわかるけれど、「音楽がスローになった」だけ、あくまで単体で発言しているのです。独り言かよっ!!! と思わずツッコミを入れたくなりました。

 第4位の「残り1セット!」に関しては、この言葉がどうというより、ビリーはかなりの回数「残り1セット!」というセリフを発するのですが、その中の何回かは「残り1セット!」と言いながら1セットで終わらないのです。確信犯的に「もう1セット!」といきなり追加したり、ビリーの筋肉ウンチクを聞いているうちにカウントが過ぎてしまって追加でもう1セットやるハメになるということが度々あり、「くそ、最後のこの1セットだけ耐えれば……」と思って頑張っている時にこれをやられると、「おいっ!! あと1セットって言っただろうがっ!!! もうダメだ! ああ~~っ!!」と我慢の糸が切れヘナヘナと腕や足を下ろしてしまうことになります。

 第3位の「バンドなしで参加しているブリジェットを見てみよう」、これは運動を始める前、一番最初にビリーが言う「体力に自信のない初心者は、バンドを使わないでもOKだ」と対になっているセリフです。あれだけチームメンバーがいる中でブリジェットさん1人だけがビリーバンドを使っていませんが、私もバンドを使っていない頃は「初心者はバンドを使わないでもOKだ」でブリジェットさんが手を振るシーンにあわせて、「僕もだよ~!」という意味を込めて一緒に手を振っていました。初心者の味方、ブリジェットさんです。

 第2位は、「ストップといったらキープして!」→「8カウントでキープ」 これは、「ストップといったらキープして!」と言っているにも関わらず、その後に「ストップ」と言わないというところが高ポイントです。普通、「ストップといったらキープして!」と言ったらその後に「ストップ」も言うでしょう! ところが、ビリーさんは「ストップといったらキープして!」と命令するくせにストップとは言わずに「8カウントでキープ」で代用するのです。つーかこれは字幕をつけた人の問題だな……

 第1位は、これはもう満場一致でしょう。なんでこのシーンをカットしなかったのかというのが世界の7不思議候補になっているという、例のシーンです。「これは何のトレーニングだ!?」とビリーがメンバーに威勢良く聞いているのに、なぜかみんなバラバラに答えを返してくるというシーン。日本語訳では生徒の答えが「筋トレ!」に統一されていますが……。期待した返答ではなかったためビリーは「え? 何だって!?」ともう一回聞くのですが、またもやグダグダといろんな答えが返ってきます。業を煮やしたビリーが「ブートキャンプだろう!!!」と叫んで、メンバーの女性は「ああ、そうだったのか」とアヒル歩きをしながら苦笑いをするという名シーン。その後もう一度「What kind of training is this?」と聞いて、3度目の正直で「ブートキャンプ!!」と今度は元気よく生徒は答えていますが、その時の「What kind of training is this?」という問いかけが字幕では「何トレ?」とめちゃめちゃテキトーに訳されているところも字幕のある正規品ならではの見所です。

 番外編として、立った状態で勢いよく左膝を抱え込む運動の時に、わざとチンタラやって「ディスイズノーグッド!」とダメな見本を見せる、その時のビリーの大人しい喋り方と微妙な笑顔にも要注目です。

 さあ、どうでしたか?

 どうでもいいですか??

 まあたしかにどうでもいい内容だな。でもこんなんでも書くのには2時間近くかかってるんだけどな。

 ちなみに、DVDを再生して最初に運動に入り込むまでがいまだに恥ずかしく、そして最後、トレーニングが終わってみんなで「ビクトリー!」と叫び、メンバーが抱き合ったりしている時にこっちは1人で、さらにその5秒後に再生が勝手に終了し部屋がいきなり無音の状態になるのがとてつもなく寂しい。それまでみんなと運動していて楽しかっただけに、突然1人の世界に突き落とされるあの瞬間は涙が出てくるくらい寂しい。

 無理やり布団の隣に広げたヨガマットを細々と片付けている自分の姿が、真夜中の窓ガラスに悲しく反射しているのさ(号泣)。

しょーもない怪我

 左手が痛い。昨日の早朝、左手の甲を強打してしまって、いまだにそこに触れるとズーーーンと鈍痛が走る。なぜこのようになったかというと、これが何を隠そうあの3バカトリオの次男、亀田大毅のせいなのである。にしても本当にバカバカしい。これほどバカバカしい怪我をしたことがあろうか。

 話は大学時代に遡るのだが、オレは貧弱体でありながら格闘技にはまっていて、大学では体育会の少林寺拳法部というものに入っていた。一応黒帯、3段を持っていて当時は東海大会で最優秀演武賞を取ったりとそれなりの動きはしていた。4年間、週5日も練習をし続けていたのだからまあどんな貧弱でも見られるようにはなるだろう。

 で、話は今朝に戻るのだが、オレは寝ていた。そして夢の中で、オレはなぜか亀田大毅と戦うことになった。経緯はよく覚えていないが、ちゃんと観客がいて、むこうはグローブをつけていた。ルールは、K-1と同じで蹴りも出してOKというものであった。ただ大毅はあのオヤジに蹴りの練習はしてもらっていないため、実質蹴りが使えるのはオレだけであったのだが。

 対戦相手である浪速の弁慶こと大毅はやはり非情に生意気なやつで、ヘラヘラと笑いながら「こんなシロウトに負けるわけねーだろ。すぐ勝負つけてやるぜ」てな具合だったのだが、オレにも昔取ったきねづかとプライドがあるので、くそー、見た目で判断しやがって、こう見えてもオレは少林寺拳法の有段者なんだぞ……こうなったら、ボクシングには無い蹴り技をお見舞いしてやる。しかしいきなり蹴ってもよけられるだろうから、突き(パンチ)から仕掛けてフェイントをかけて上段蹴りで決めてやる……と考えながら亀田と対峙していた。

 で向こうはヘラヘラしているとはいえそれでもプロボクサーであるし、しかも世界ランカー、一瞬の隙が命取りになると思いオレもガードを固め、絶対に気を抜かないようにチャンスを伺っていた。そして、しばしにらみ合った後おもむろに大毅が一歩前に出てきたのだ。

 その瞬間、左足が前のオーソドックススタイルに構えていたオレは、一歩踏み出した大毅の顔面を狙って、左順突き(左手のジャブ)を全力で繰り出したのである。すると、

 グワ~~~~~ン!!!!!

 と左手に本気の激痛が走り、オレは痛みで「うあ゙っ!!!」と叫びながら目が覚めた。

 オレの布団のすぐ横には、食卓兼ノートPC置き場となる高さ50cmくらいの鉄製のテーブルがあるのだが、そのテーブルの縁というか角の部分に、オレは思いっきりパンチを見舞ってしまっていたのである。

 これはあまりにも痛かった。なにしろ、オレのパンチで一瞬鉄製のテーブルが少し浮いた。まず拳が角に当たった「ドスン!」という音がして、少しテーブルが浮いて床に落ちる「ドスン!」の音が別途したのだ。

 いって~~~~、なんでやねん……おい、なんでやねん(涙)!! ……と寝起き後3秒の状態で叫びながら、しかし夢の中の自分の動きを実際にオレがしていたということがショックであった。普通夢の中で動いても、夢の中だけで完結しないか?? 本当に自分も動いていたら、夢遊病じゃないか。ひょっとして、武士になって関が原の合戦に参加中の夢を見たら、オレも寝ながら包丁を持って暴れまわってしまうのではないだろうか?? 空を飛ぶ夢はよく見るが、このまま症状が悪化するとオレも本当に飛んで行ってしまうかもしれん。

 しかしこの左手の甲の痛みは完全に亀田大毅のせいである。もし骨にひびでも入っていたら、治療費を請求しなきゃ気が済まん。そもそもなんで亀田大毅が出てきたのか、なんで興毅じゃなかったのかなどいろいろと疑問は残る。プロボクサーのくせにシロウト相手に夢に出てきやがって。はっきり言って、本当に痛い。寝ているオレの周囲、98%の部分は何も無い空間なのに、よりにもよってなんで鉄製テーブルのしかも角にピンポイントでパンチを打ち込んでしまったんだろうか。むしろ大学時代下手に拳法をかじっていただけに墓穴を掘ったような気がする……。あーいたいわー……

 話と口調は変わりますが、よしもとばななさんに日記に書いていただきました「中国初恋」の単行本は、9月末発売予定です。まだちょっと買えません。

ボノタイガー登場

 新日本プロレスに謎の覆面レスラーが登場したらしい。

http://daily.jp/ring/2006/10/30/0000153204.shtml

 『試合では体格が曙に酷似するナゾのマスクマン「ボノタイガー」が登場。』ということだ。

 体格が曙に酷似していること以外は情報は無く、正体は謎に包まれているという。いったいこれは誰なのであろうか? 新聞が「ナゾのマスクマン」と書いているのだから、きっとこれはナゾなのだろう。誰にも正体はわからないに違いない。

 しかし、そもそもこの記事のタイトルが「曙が再合流 “ボノタイガー”が登場」である。もしかしてこいつの正体は……。誰が見ても曙そのものだろうがっっ!!!! 曙以外の何なんなんだよ!!!

 こんなタイガーマスクだったらいやだなあ。すごく動きが遅そうじゃないか。余計な肉もつきすぎで、4次元殺法は絶対に無理だ。3次元でも殺法は使えなさそうだ。2次元や1次元でようやく活躍できるのではないか。

 これは昔なつかしのジャイアントマシーンを意識してのことだろう。スーパーストロングマシーンというマスクマンが新日本プロレスにいたのだが、出始めのストロングマシーンはマシーン軍団といって、同じマスクを被っているやつが1号2号3号と何人もいたのだ。まあプロレスラーの体型は結構似たり寄ったりでマスクを被ってしまえば誰が誰なのかわからなかったりするのだが、ある日マシーン軍団の新メンバーとして登場したマスクマンは、正体がアンドレ・ザ・ジャイアントであることを出てきた瞬間に客全員が見抜いたという。なにせ身長220cm体重200キロである。魚にも見破られる変装である。

 いきなり話は変わるが、一人旅の大学生がインドで消息を絶ったそうである。慶応大学の2年生だそうだ。

http://www.asahi.com/national/update/1027/TKY200610270081.html

 入国時に空港で100ドルを両替してから、その後の足取りが全くつかめなくなっているようだ。帰国予定日を過ぎても帰らずにご家族は大変心配しているらしい。

 ただ一分の救いとしては、一般的に一人旅でインドに行ったらまずはほぼ全員が消息不明になるということだ。インドのバックパッカーで消息がちゃんとわかっている奴の方が珍しいのではないか。

 オレも去年インドに2ヶ月ほどいたが、安宿を渡り歩いているためにこちらから連絡をしない限りは基本的に消息不明だ。よく紛争地域などを旅行していて、宿泊しているホテルにまで日本大使館から電話がかかってきて退避するように言われたなどという話があるが、バラナシで1泊100円の宿に泊まっているバックパッカーを日本大使館が把握するのは絶対に不可能である。だから、間違いなくオレも去年インドにいる時は、いや、そもそもアフリカ大陸から去年アジア横断まで1年半くらい基本的に消息不明だったはず。メルマガを発行していなかったら普通に行方不明者になっていただろう。

 まあ連絡が途絶えているということはかなり心配ではあるが、まだ他の国と違って希望はあると思う。ただ安宿をほっつき歩いて、インドにはまってしまったために帰る気にさらさらなっていないと、その程度であることを祈りたい。