チリといえば
地球の裏側にいるということは、今僕はみなさんと上下さかさまを向いているんですねー。みなさんの足の下、地面より13000kmほどのずっと下で僕は足をみなさんの方に向けて頭を下にして立っているんです。
これがどういうことかわかりますか?? そうです。つまり、僕は上下さかさまになって天井を歩く忍術を身につけたということです。帰国したら「上下さかさまになって天井を歩くことが出来るびっくり人間」としてテレビに出演し、それをきっかけに一芸タレントとして食べて行きたいと思います。ゲスト出演する番組では登場しなにまず天井歩きの特技を見せて場を盛り上げ、その後はたいしたコメントも出来ずに飾り物のようにひな壇に座っていたいと思います。
ってそんな忍術なこと言ってる場合じゃねえだろうがっ!!!!!
チリといえばなんだよ。チリは、長細いだろうがっ!!!! 海岸が多いだろうが!!!!!
それならよ、当然のようにチリ名物は海産物だろうが。そしたらよ、とりあえず市場のレストランにでも行って海産物を食べてみたいだろうが。そうだろうが? でもさあ、どうせ海産物なんて言ってもイカとかあさりくらいしか無いんだろ? がんばったとしてもせいぜい小エビだよ。そんなもんなんだよ。日本じゃないんだから。期待できないよどうせ。南米なんだから。南米がいくら頑張ったところで知れてるんだよ。南米なんてアカンベーの親戚なんだからよ。期待する方が間違ってる。
まあなんでもいいや。多くは望んでないよ。オレは多くは望んでない。されどとりあえずチリに来たからには一度は海産物を食わなきゃいけない義務があるからよ。熱い風に立ち向かって行く旅人としての義務が。さあ出してくれよ。さあさあ。さあ。
小エビでもタコでもシーチキンでも出しやがれってんだよっ!!!!!!!
むむむっ!!!
なんだこれは。
この、どんぶりに大量に入った黄色いの。なに? このおどろおどろしいウニウニしたものは。
まあ食うけどよ。どうせこれ一回きりなんだよ。覚悟して食うよ。食えばいいんだろ食えばこんなものを。チリで海産物を一度は食わなきゃいけないんだよ。たとえおどろおどろしいウニウニの食材でも。だから、食べたよ。マヨネーズと特製チリ辛ソースをつけて。がつがつと食べたよ。
で次の日だよ。
問題は次の日だよ。今日は何食う? 昨日海産物は食ったから、もう義務は無いんだよね。チリで一度は海産物を食うという義務は果たしたからもう今日は好きなもん食えるんだよね。
じゃあ市場にでも行こうか。市場のレストランにでも行こうか。昨日と同じとこ。それじゃ、義務を果たした今日はオレの自由意志により、注文したのはこれだぜっ!!!!!
なんだよ。
え~~っ? 「もっとズームで撮れ」とか勝手なことを言いやがる輩がいるって? 見ず知らずのいちブロガーに対して高度なテクニックであるズームでの撮影などを要求するような専横な態度な輩? 独断専行? え~いそんな不良は怖くない、アップで撮るぜ。
倍率ドン!! ズーム! アップ!
なああんた。
そこのあんたにちょっと聞きたいけど、ウニだけで腹がいっぱいになったことがあるかい? どんぶりにドカカーンと盛られたウニ。ウニだけで腹が満たされたことがあるかい? フォークでウニをいくつも同時にぶっ刺して塊のまま口に放り込んだことがあるかい??
はっきり言って、
うまい。
うまいというか、もううまいうまくないの話じゃないんだって。もうなにしろ、幸せなんだって。そりゃうまい。新鮮な取れたてのウニがてんこ盛りだよ。うまいに決まってるだろ。
でも、うまさ以上に、幸せなんだよ。目の前にこれだけ大量のウニがあって、そしてその大量のウニを全て自分1人で食べられるこのような状況だぜ? もうフォークでひと刺し、いくつものウニを同時に口に含んだ瞬間の幸福感。至福の時。こんなこと日本でやろうものなら、あまりのもったいなさに間違いなくお母さんに怒られるぜ。食べ物のありがたみをわかっていない贅沢野郎として、マスコミに糾弾されるぜ。ネットニュースはそういう話題が大好きなんだぜ。
でもなあ。
ただひとつ欲を言わせてもらえば、このソースなんだよな。
たしかにマヨネーズ&チリ辛ミックスにウニをつけると美味いウニだ。間違いなく美味い。しかし、一番は何か。最適なもの。最もウニにフィットするソースそれは、そう、醤油ではないか。ああ、醤油さえあれば……。などとそこまで考えるのはあまりにも身の程知らずの贅沢なので、チリ辛ソースで満足しなければ。身の丈にあった贅沢をしなければ。チリ辛ソースだけだと日本人の口にあわずにイマイチなのだが、これがマヨネーズと混ざると辛さも抑えられて実にマイルドで味わい深いウニソースとなる。そしてウニソースが足りなくなったら「サルサポルファボール(ソースお願いします)!」と店員にお願いして追加ソースでウニをまたひと塊おちょぼ口に放り込むのである。
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