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ニュース

 サンチアゴ近郊の地震では多数の被害者が出ているようなので、なかなか安易に自分だけ帰れてよかったとは言えないが、しかしここ数ヶ月は南米のしかも旅行者が行くようなところで妙にアクシデントが多発しているように思う。しかもそれに自分が結構ニアミスしてしまっているので、ニュースを見る度に他人事とは思えない、やや背筋が冷たくなる思いをする。
 今やサンチアゴの空港は閉鎖されてしまっているようで、チリにしろマチュピチュにしろほんの数日(マチュピチュはほんの半日)の差で無事に抜け出せたのであるが、しかし例えばもしオレがマチュピチュ村に閉じ込められたとしても、サンチアゴから出られなくなったとしても、それは日程が狂うだけで、それほど大きなダメージでもなかったかもしれない。
 ところが、さすがにナスカでの飛行機墜落事故は、シャレにならない。http://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/JAPAN-140850.html
 これはニアミスというほど近い日付ではないが、しかしナスカで旅行者なら誰もが通る道である遊覧飛行、その遊覧飛行中の小型飛行機が墜落して乗客、乗員全員が死亡してしまったそうなのだ。ここでは乗客はチリ人とペルー人であったというが、タイミングさえずれていればその乗客は他の国の旅行者やオレや知り合いの日本人旅行者であったわけで、飛行機の墜落では100%助からないわけだからこれはもう本当に恐ろしい。本当にこのニュースは背筋がゾッとした。
 楽しいはずの遊覧飛行中に事故で亡くなった方たちはさぞ無念であっただろうと思う。命を落とした操縦士と旅行者のことを考えるとなんとも傷ましい気持ちになる。
 きっと、これから春休みを迎えて南米を旅しようとしている人たちもいるだろうが、一連の事故は今後の予定にもかなり影響してくるだろう。サンチアゴの空港が閉鎖されているということは、イースター島にも行けないし島からも戻れない、つまりあそこにいる人たちも閉じ込められてしまっているという状況だろう。
 旅の最中で出会った旅行者が日本人外国人問わずまだ数多く南米にいるが、もうこれ以上の事故が起こらないように祈るばかりである。もちろん、日本にいるから安全なんてことは言えないが……

世代交代の時期パート2 

 ※前回までのあらすじ

 「ボク、人間になりたいワン!」

 ある日さくら剛のアゴに頭突きを繰り返し、気を失わせながらイースター島に住むペロは夜空のお星さまに祈った。そんな他愛もないひとことにより、今日も日本人宿「Hare Kapone」では、食費の節約のために自炊をする旅行者が多いのであった。




 さくら剛特製、「ナスとウィンナーのこんがり醤油マヨネーズあえ」である。

Easterokazu



 なぜ、いつからこんなにオレはナスが好きになってしまったんだろう。もうナスナスナス、寝ても冷めてもナスばかり。まるでナスのナスがまま、ナスには決して逆らえないというナスけない姿になってしまったオレである。そしてどこでも手に入るマヨネーズはともかく醤油をなぜ持っているかというと、それは前々回のブログをご参照あれ。液体は飛行機の機内持ち込みできないので、バックパックに醤油のビンを入れて荷物を預けてイースター島まで運んだのである。一歩間違えればフタが取れるかビンが割れてバックパックの中、全ての生活用具一式が醤油の海に浸かり和風の味付けになってしまうというそこまでの覚悟をして。そういえば、ここで買ったナスはちょっとあおかったなあ。これがほんとのナースあおい。

 ともあれ、この「ナスと輪切りウィンナーのマヨしょうゆさくら剛バージョン適当スペシャル」はどう考えても南米で食べる日々の料理より美味い。こんなおいしい料理を作れる人が旦那さんだったらきっと楽しい結婚生活が送れるんだろうなあ。

 しかし、なかなか海外には日本のようにツマミを動かすだけで自動的に着火するコンロは無いため、ここのガスコンロもツマミを捻ってガスをシューーと出してから自分でライターで火を着けなければならない。
 でもそのライターを近づけて火を着けるという動作がもう恐いのなんの。ライターの火なんて所詮ほんの3cmくらいの長さなわけで、だからもうコンロの根元スレスレまで手を接近させなければならずそして一定の距離に達した瞬間いきなりボゥワオッッ!!!と小さな爆発のように火が着くものだから、もう何回使ってもオレはこのコンロに火を着けるたびに「ひやあっっ(号泣)!!!」と黄色い悲鳴を上げることになったのである。
 どうか着火マンを買ってください。

 調子に乗って今回新しく作ったのは「ウィンナーとナスの醤油マヨネーズ炒め乗せスパゲティさくら剛スーパーミラクル」である。

Easterspa




 いやあ~。

 もうナスウィンナーの醤油マヨネーズ風味とスパゲティが、あわないのなんの。
 これは失敗だった。

 しかし懲りずに他の旅行者が炊いていた米をもらって、翌日は「マヨしょうゆナスウィンナーさくら剛ハッピーエンドバージョン車酔い大嫌いどんぶり」である。


Eastergohan



 うん。

 これはいける。やっぱり和風のおかずには米ですね。

 ところが、この宿は短期滞在者ばかりで宿泊者の雰囲気もいいとはいえ、オレを含めて6人宿泊していてオレ以外の宿泊者の平均年齢が21歳くらいだった(4人は現役大学生)時にはもうどうしたらいいかわからなくなったのだよ。戸惑ったのだよ。
 オレの場合20代前半の若者にも最初はまずかなりの確率で同じくらいの歳だと思われて、始めは馴れ馴れしくタメ口で喋られる。時によりオレもタメ口だったりオレの方は敬語だったり(10歳以上年下の相手なのに)するのだが、初対面の旅人同士でしばらく話していると必ず年齢の話になるものであり、そこで仕方なく実年齢を明かすと「えっ! そんな上なんですかっ!」と驚かれサーーッと気持ちが引かれるというそのパターン、毎回繰り広げられる毎回味あわされる心の距離が離れて行く瞬間、それがすごくイヤなのだ……。同じ人間じゃない。いいじゃない30でも(涙)。急にそんなに遠くに行かないで(涙)。

 とはいえ結局何日も同じ屋根の下で暮らしているとたいして年齢など関係なく喋るようになってくるのだが、それでもオレの過去の旅で自分より10歳以上下の旅人など見たことが無いため、彼らがどういう世代なのかいくつか質問したくもなるものだ。

 モアイも見尽くして共有スペースでグダーとしているある日の午後に、オレはルームメイトの大学生マサくんに「キミは何年生まれなの?」と聞いてみた。
 すると、なんとあらびっくり、「平成元年生まれです」という答えが返って来たではありませんか。

 おいバカっ!!!!!!

 平成生まれって!!!!!!!!!!!

 ウソだろっっ!!!!!!!! 無理だろっっ!!!!!!!!!! そんなのイヤっっ!!!!!! 平成生まれはやめてっ!!!!! 聞きたくない!!! 見たくないそんなバックパッカー!!!!!!!

 
 でましたか。
 遂にでましたか平成生まれのバックパッカーが。平成生まれなんですかあなたは。昭和天皇の時代を知らないのですか。「鉄骨飲料~」とかいうCMを知らないのですか。ああそれに比べてオレはいったい昭和何年生まれなんだ。というか「昭和生まれ」という言葉が今オレたちが感じている「大正生まれ」、下手したら「明治生まれ」に抱くような古風なイメージに既に変わって行きつつあるのだろうか。そんなのイヤだっ(涙)!!! 昭和生まれは普通じゃん!!!! 若者じゃん!!! そんなのイヤだっ(涙)!!!
 ……ほらみろ、オレはこうやって「イヤだっ(涙)!!」なんて言ってるんだぞ。こんな幼い表現を使うってことは、まだまだオレは全然若いってことだろうよ!!!! 昭和生まれをナメんなよっっ!!!!!

 とにかくオレは引き続き聞いた。

「ということは、もしかしてモーニング娘。なんかキミより年上だったりするの??」

「そうですね。辻ちゃんと加護ちゃんが、僕より1こ上ですね」

 へーそーなんだ。

 待たんかいワレッ!!!!!!!!

 辻ちゃんと加護ちゃんより年下のバックパッカーがいてたまるか!!!!! あり得ないってそんなもん!!!!! 辻ちゃん加護ちゃんより年下ってほとんど赤ちゃんじゃねえかっっ!!!!!!!!!!!!! そんな歳のバックパッカーがいるかよっっっっっ!!!!!!!

 いったい、いつの間に時というのはそんなに過ぎてしまっていたのだ……。

 逆に今度はオレが自分の時代に流行っていた歌手の名前などを彼に挙げ教えてあげたのだが、ZARDやWANDSなどの名を出した時にこの若造は「ZARDって、死んじゃった人ですよね?」とのたまいやがったのだ。

 死んじゃった人とかいう言い方はやめんかっっっ!!!!!! ZARDなんてまだまだぜんぜん新進気鋭のJ-POPアーティストではないか!!!!! ZARDとかB’zの曲を聴いてるってめちゃめちゃ若いっていうことなんだぞ!!!!!!! おじさんたちはついて来れないんだからこんな新しい話題に!!!!

 ZARDは不幸にも若くしてこの世を去ってしまったけど、オレたちよりほんのちょっと年上なだけの若いおねえさんではないか。なんだよその「よく知らないけどもう亡くなってしまった昔の歌手ですよね」みたいな言い方は。美空ひばりとZARDが同じ世代だと思ってんじゃねえかひょっとして。全然そのへんの区別がついてないだろおまえ。今の教育はどうなってるんだ。そのくらいちゃんと学校で教えんかっっ!!!!

 こうなってくると、もうバックパッカーの世代は変わったのだ。オレはもう引退して、若い者に後の道をゆだねなければいけないな、という気分になる。いや、そうしなければいけないんだ。いつまでも年寄りがのさばっていては、若い人たちがのびのびと動けないのだから。
 これでもう旅は最後にするべきだな。少なくともバックパッカーとしての旅はもう引退しなければ。アジア、アフリカ、北米、南米とだいたいの地域は周り、行った国も38カ国になった。今後は残されたヨーロッパに行くにしても大人としてツアーに参加したり高いホテルを渡り歩くような穏やかな旅をすればいいではないか。もうバックパッカーとか冗談じゃないぞ。こんな苦しいこと誰がやるかってんだよテメエ!!!!! 二度と!!!辛いんだよ!!! ものすごく!!!!!

 尚、イースター島は見所が広く点在しているため普通は何人かでレンタカーをシェアして観光するものである。ただもちろん基本的にはみんな個人旅行のため、だからこういう日本人宿に宿泊してそこで同行者を探し、グループを組むのである。
 しかし、そこはオレのこと。
 当然のごとく、1人たりとも同行者を見つけることは出来なかった。
 だから、自転車を借りて汗だくになりながら必死で周ったんだ。ひとりで。いつものように(号泣)。
 宿の情報ノートにさみしく自転車での観光情報、アドバイスを書いたので今後イースター島に行こうというプランがある方はぜひHare Kaponeでノートを読んでみてください。そしてそれを書いた僕が、その観光をしていた僕がどんなに孤独で寂しかったかに思いをはせてください。そして泣いてください。
 「みんなが一緒に観光する人を探している」という状況にいてすらなぜオレだけがいつもグループを組めないのだろうか。オレの次の日にチェックインした旅行者も、その後に入って来た旅行者たちもみんな偶然にもうまく他の宿泊者と一緒に島を回ることが出来ていたのに。レンタカーで、あるいはバイクで自分の汗を流すことなく楽しくおしゃべりをして団結を深めながら。オレなんか時間がかかるから朝5時の真っ暗闇の中をペンライトのみじめな光だけで照らしながら必死で上り坂を自転車漕いでいたんだぞ。そしたら早く目的地に着き過ぎていまだに真っ暗闇でモアイの姿も全然見えなかったんだぞ。しかも暗闇に巨大な輪郭だけ浮かんでめっちゃ恐かったし。

 寂しい。寂しく帰国しました。

世代交代の時期

Eastermoai 

 旅の最終地、イースター島で宿泊したのはこれまた日本人宿の「Hare Kapone」というところ。ここはイースター島初の日本人宿として、ほんの数ヶ月前にオープンしたばかりなのだ。
 オープン直後というせいで、当然のことながら何もかもが新しい。元々宿泊施設ではなく普通の家として作られているためにリビングやキッチンという共同スペースが広く、しかもぴっかぴかなのだ。コンロや水廻りにはまるで鏡のように景色が写り込む。おお美しい。派遣社員時代は出勤したらまず除菌ティッシュでキーボードとマウスを拭いてからでないと恐ろしくてパソコンを触ることも出来なかった、潔癖症でとても海外のホテルになんて泊まれない私でもこれなら安心。

 さて、そんなある日オレが宿のキッチンで食器を洗っていると、視界の隅になんだか人の気配を感じた。
 うん? そうかそうか、きっと新しい宿泊者がやって来たんだな? もしくは、既にここに泊まっているルームメイトが観光から帰って来たのかもしれないな。誰だろう。こんな音も無く近づくなんて、ただ者ではないな。この静けさは、もしかしてしずかちゃんか??
 と思いながら、その気配の方に目をやると…………、
 それはたしかに日本人だったのだが、なんと驚くなかれ。そこには、妻夫木聡に瓜二つの想像を絶する若い超イケメン旅行者が立っているではないか!!!
 ウソっっ!!! こんなカッコいい旅行者がいるわけがない!!!! 絶対にあり得ない!!!! だってこんなにも二枚目だったら近所の農道を歩いているだけでも即効でモデル事務所にスカウトされて、様々なトレーニングプログラムを経た後に多忙な芸能活動が始まるから、だからとてもバックパッカーなんてやっている暇は無いはずだ!!! 仮にまだスカウトされていなかったとしても芸能人と間違えられて成田空港では前田忠明さんやTBSの宇津木デスクなどの芸能レポーター、取材陣に囲まれるだろうから、日本を出国することすら困難なはずだ!!!! 誰だよこれ!!! なんでこんな妻夫木聡風のイケメンの男がイースター島初にして唯一の日本人宿、管理人の川口さんは何年もこの島でガイドを務めており初心者の質問にも気さくに日本語で答えてくれとてもありがたい宿、そんな日本人宿「Hare Kapone」にいるんだ!!! 芸能活動はどうしたんだよ!!! 無期限休養中なのかよ!!!

 というふうにオレは飛び上がって驚いたのだが、ふと冷静になってその旅行者をよく見てみると……。

 違う。
 これは新しい宿泊者でも、既存のルームメイトでもない。
 これは…………、なんとまあ、鏡のようなぴっかぴかのシンクに反射し映り込んでいる、オレ自身の姿ではないか!!!! お~~なんてこったい!!! まさか自分の姿を見てこんなにびっくりしてしまうなんて!! 僕としたことが!! もう恥ずかしいなあ(笑)!!

 いやあ。

 さてさて。




 なめんなよこのヤローッッ!!!!!!






 というように、まあここは元々快適設計な上に新しくもあり、設備面では文句無い日本人宿だといえよう。

 ただ唯一の難点を言えば、宿の敷地内にいるペットのペロが若くて元気すぎることである。




ペロ(犬)

Easterinu 



 元気なことはいいことだ、だって男の子だもん、と安易に思うなかれ。
 たしかにどんなに頑張っても人間の友達が出来ないオレにとって、暇な時間に人ではなくペロとたわむれて寂しさを忘れられるというのは喜ばしいことだが、だがこのイースターペロは、なんとも人間への飛びつき方、その勢いが半端ではないのだ。
 飛びつくというより、こちらが射程範囲に入ったら彼はすぐさま尻尾を振りながらしかし体全体を肉弾と化して全力で飛び掛ってくるのである。それはもう気が狂ったように。まるで30年間待ちわびていた運命の人を見つけたかのように。

 こう見えてこいつは立ち上がると身長150cm以上にも及び、その巨体が容赦なく挑んで来るという状況は決してかわいいで済まされるものではない。オレがおーよしよしよしゅよしゅ!いいごだね~♪とムツゴロウさん化してにこやかに近づくと、すっんげー勢いで弾丸のように飛んで来て、ペロの頭部、藤原喜明級の硬度を持つ頭蓋骨がオレのあごにガゴ~~ン!!とヒット、そのままノックアウトという事件が2日連続で発生した。ハフハフとふりかざす前足もこちらの頭の位置で迫ってくるため、ジャブ程度に食らった回数は数知れず。タイでは本場のムエタイを、中国では本場の少林寺を、チリでは古来より伝わる伝統の忍術を学んだ格闘家のオレですら奴を組み伏せるまでに多くの手傷を負ったほどだ。

 話は元に戻って、少し前に書いたように宿の居心地というのは設備面に加えて他の宿泊者のモラルや社交性に大きく左右されるものである。だからたとえ設備が文句のつけようの無いほど良いものであっても、それだけでイコール過ごし易い宿だとは言い切ることが出来ないのだが、多くの日本人宿と違いここは長期滞在者、いわゆる沈没組が沸きにくい環境であるのだ。
 なぜならば、イースター島は全体的に物価が他の南米地域はもとより日本よりも高い。もちろん宿代も島全体で他の中南米諸地域に比べ高めに設定されているため、この島に1ヶ月も2ヶ月も滞在していられるようなバックパッカーはほとんどいないのだ。そもそもそんな金持ちの旅行者がいたら、「金持ちケンカせず」という格言があるように長期滞在者といえどもそれなりに心の余裕がありマナーを理解している人だろうし、そんなお金持ち旅行者は基本的にパッカー宿ではなく高級ホテルに泊まる。
 それ以前に、そもそもイースター島に片道航空券でやって来る旅行者はほとんどおらず、99%の人間はサンチアゴからの往復チケットであり帰りの便が決まっているので、よって宿の居心地がどんなに良かろうともこの島でだらだらと滞在期間を延ばすということが不可能なのである。
 ということでここは日本人宿といえども宿泊客は短期滞在者ばかりとなり、よっぽどの変質者でも来ない限りは健全に旅人同士楽しく過ごすことが出来るのである。

 ところが!!!!!

 1回で書こうとしたのだがなぜかペロと妻夫木聡の話で時間がかかってしまったので本題は次回「世代交代の時期パート2 ~人間になったペロ~」に続くこととなる!

おしょうゆを求めて

 ※前回までのあらすじ

 チリのイキケの市場にて2日連続チリ辛ソースでウニを堪能するひものちゃんことさくら剛は、夕日を眺めながら「ここにお醤油があったらなあ」と遠い目でつぶやく。そんな他愛も無いひとことにより、ここにお醤油を求めるイキケを股にかけた壮大な旅が始まったのであった。
 
 
 2日連続のウニがつがつ三昧を終えたオレは、なにげなく近所のスーパーマーケットに寄ってみることにした。なにしろカッパが頭の皿が乾くと死んでしまうように、オレはなにげなくスーパーマーケットに立ち寄りたくなったのだ。
 なにしろ今は旅の空である。日本語も前後のつながりなど気にせず自由に使うのである。きれいな文章がなんだ。若いということはなにものにも囚われる必要が無いなあ。だって日本語というのは日々変わっていく言葉で自由でいいよね。

 スーパーマーケット(スペイン語ではスペルメルカド)では数多くの出会いそして別れ、新しい命の誕生などがあったのだがそれは中略として、

 おや?? あれはなんだ??

 

 

Shoyu1 

 

 「KIKKOMAN」の、「Salsa de Soya」というものがあるぞ。
 KIKKOMANといえば、そのまま読めばキッコーマンである。並べ替えるとマンコッキーである。しかし並べ替えても意味が無いのでそういうことはしない。そういう不毛なことは大嫌いだ。オレ自身は決して不毛ではなく毛が生えているけれど。

 このような黒い液体、それがまたこのような小さめのガラスの瓶に入っていてメーカーがキッコーマンときたら、おそらく素人は、あなたがたは「これはキッコーマンの醤油なのではないか」と勘違いしてしまうものだと思う。
 しかし、検証もせずに安易に中身を判断する前に、よく考えて欲しい。ヘイユー、Think twice.
 この商品の名前は「お醤油」ではない。「Salsa de Soya」である。つまり外来語だ。ではこれは英語表記なのか? 果たして醤油のことを英語で「Salsa de Soya」というのだろうか??? ……そのように考えてみると、この世界はたった300人の選ばれた人間のグループによって全てが動かされているという説(三百人委員会)があるが、そのグループの一員である優秀で賢明なあなたならきっと英語で醤油は何というかご存知なことであろう。そう、それは「ソイソース」である。つまり、ソイソース「soy sauce」が醤油であるならば、「Salsa de Soya」というのはソイソースではないのだから醤油のことではないのである。
 
 でも否、ここは南米なのだから醤油の表記も英語ではなくスペイン語になるのではないか? それならば英語でのソイソースにあたる表現がスペイン語では「Salsa de Soya」なのではないか?? という意見もチラホラとみなさまがたの中から出て来るであろうが、それもまた相手の思う壺だと言わざるを得ない。
 たしかにソイソースと「Salsa de Soya」は似ている。似ているのだが、だからこそ「これはきっとスペイン語で醤油という意味なんだろうな。じゃあ買っていこうっと」と暗愚な客に思わせるために仕組まれた罠だということに、そのために敢えて微妙に似ている言葉をつけているということに気付いて欲しい。敵の策略に乗ってはいけない!!! ダメなんだ簡単に相手を信用しては!! ここは南米なんだぞ!!

 たしかに、ご存知の通り「Salsa=サルサ」というのはスペイン語で「ソース」の意味、「Soya=ソヤ」は一世風靡セピアの歌前略、道の上よりでの「ソヤ!ソヤ!」というかけ声のことである。また、ソヤは「前略、道の上より」でのかけ声と同時に「大豆」という意味でも使われる言葉である。「de」は「~の」なので、そうすると「Salsa de Soya」とは英語に直すとそのままソイソース、つまり醤油、しかもメーカーがキッコーマンなのだからそれこそこれは一級品の醤油ということになるのだが、いいや騙されてはいけない。いいか、オレは騙されんぞ!! この南米のスーパーめがっ!! 1億日本人の目を誤魔化せようとも、オレの目だけは欺くことは出来んぞ!!!!! そのような手に乗ってたまるか!!! みすみすこんなものを買わされてたまるか!!!!! オレをあなどるなよっ!!!!

 

 なんだこんなもの!!!!

 こんな醤油みたいなもの!!!!

 

 Shoyu2  

 

 
 
 なんだよっ!!!
 そんなことするわけがないだろうっ!!!! まんまと騙されてウニに醤油をつけて食べようなどと!!!! このかれこれ4ヶ月も中南米を旅しているつわもののオレが!! そんな愚かなことを!!!!!

 ましてや醤油用に小皿まで持って来てもらって!!!!!
 
 
 
 
 

 
 
 
Shoyuuni
 

 
 
 
 















 
 ちょぴっ。ちゅるるっっ。(醤油にウニをつけてスルッとお口に入れる私)
 
 
 
 
 
 








 …………。








 
 
 

 
 
 
 
 
 うまい(号泣)。
 
 
 
 
 
 
 
 こうなったらもうさ、そりゃあご飯を頼むでしょ。ご飯。上の写真を見てくれ。左側に、既にご飯がスタンバイしているだろう。白くてつぶつぶで数多いかわいい奴。用意周到だろう。どうだオイ。
 
 よーし。ここはひとつ、ウニをご飯に乗せてみようじゃないか。申し訳程度にウニ丼もどきを作ってみようじゃないか。所詮ウニ丼などと言っても結局高価なウニをふんだんに使うわけにはいかないので世間一般のウニ丼はご飯の量に対してウニが少ししかない、バランスが取れていないウニの寂しいウニ丼であり今回もどうせ同じようになるのだろうけど。ウニ丼のウニなんて少ししかないものだから。寂しいほどの量しか無いものだよウニ丼に乗るウニなんて。でも寂しくてもいいからそんなウニ丼を作ってみようじゃないか。寂しさには慣れているオレさ。
 ではウニを、ちょっとずつ乗せて……
 
 どんぶりのウニをご飯に、あるだけ全部乗せて……。
 

 

 



 

 
 
 …………。

  
 
 
 
Unidon1 
 
 

 

 

 

 







 
 …………。
 
 
 
 

Unidon_2
 
 

 
 
 
 
 バカやろう!!!!!!!!!!
 
 なんだこれはっっ!!!!! けしからん。けしからんぞっっ!!!!! なんだこのウニの横暴ぶりはっ!!! やり過ぎだっ!!! 横暴だ!!! ご飯が見えないじゃないかよっ!!!!
 
 そりゃあ、ウニだって生き物だ。自分の存在を主張したいというその気持ちはわかる。でもなあ、だからって、ご飯を隠してしまうようなことが許されるのか!!!! ご飯が見えないくらいまでに!!!! いくらウニでも、他の食べ物を妨げる権利なんか無い!!! 自己主張をするために他のものを妨げるなんてことは許されないんだっ!!!! このウニめっ!!!!
 
 
 そして私はウニ丼に醤油をかけて大量のウニとご飯をむさぼり食い、みなしごだった僕は初めて幸せというものの存在を知るのでした。
 さよならチリ。さよなら南米。

チリといえば

 地球の裏側にいるということは、今僕はみなさんと上下さかさまを向いているんですねー。みなさんの足の下、地面より13000kmほどのずっと下で僕は足をみなさんの方に向けて頭を下にして立っているんです。

 これがどういうことかわかりますか?? そうです。つまり、僕は上下さかさまになって天井を歩く忍術を身につけたということです。帰国したら「上下さかさまになって天井を歩くことが出来るびっくり人間」としてテレビに出演し、それをきっかけに一芸タレントとして食べて行きたいと思います。ゲスト出演する番組では登場しなにまず天井歩きの特技を見せて場を盛り上げ、その後はたいしたコメントも出来ずに飾り物のようにひな壇に座っていたいと思います。
 ってそんな忍術なこと言ってる場合じゃねえだろうがっ!!!!!
 チリといえばなんだよ。チリは、長細いだろうがっ!!!! 海岸が多いだろうが!!!!!
 それならよ、当然のようにチリ名物は海産物だろうが。そしたらよ、とりあえず市場のレストランにでも行って海産物を食べてみたいだろうが。そうだろうが? でもさあ、どうせ海産物なんて言ってもイカとかあさりくらいしか無いんだろ? がんばったとしてもせいぜい小エビだよ。そんなもんなんだよ。日本じゃないんだから。期待できないよどうせ。南米なんだから。南米がいくら頑張ったところで知れてるんだよ。南米なんてアカンベーの親戚なんだからよ。期待する方が間違ってる。

 まあなんでもいいや。多くは望んでないよ。オレは多くは望んでない。されどとりあえずチリに来たからには一度は海産物を食わなきゃいけない義務があるからよ。熱い風に立ち向かって行く旅人としての義務が。さあ出してくれよ。さあさあ。さあ。
 小エビでもタコでもシーチキンでも出しやがれってんだよっ!!!!!!!

 

 

  

 

Uni0 

 
 むむむっ!!!

 なんだこれは。

 この、どんぶりに大量に入った黄色いの。なに? このおどろおどろしいウニウニしたものは。
 まあ食うけどよ。どうせこれ一回きりなんだよ。覚悟して食うよ。食えばいいんだろ食えばこんなものを。チリで海産物を一度は食わなきゃいけないんだよ。たとえおどろおどろしいウニウニの食材でも。だから、食べたよ。マヨネーズと特製チリ辛ソースをつけて。がつがつと食べたよ。

 で次の日だよ。
 問題は次の日だよ。今日は何食う? 昨日海産物は食ったから、もう義務は無いんだよね。チリで一度は海産物を食うという義務は果たしたからもう今日は好きなもん食えるんだよね。
 じゃあ市場にでも行こうか。市場のレストランにでも行こうか。昨日と同じとこ。それじゃ、義務を果たした今日はオレの自由意志により、注文したのはこれだぜっ!!!!!

 
 

 

 Uni1
 
 

 

 なんだよ。

 え~~っ? 「もっとズームで撮れ」とか勝手なことを言いやがる輩がいるって? 見ず知らずのいちブロガーに対して高度なテクニックであるズームでの撮影などを要求するような専横な態度な輩? 独断専行? え~いそんな不良は怖くない、アップで撮るぜ。
 倍率ドン!! ズーム! アップ!

 

 

 

 

  

Uni1appu 

 
 
 なああんた。
 そこのあんたにちょっと聞きたいけど、ウニだけで腹がいっぱいになったことがあるかい? どんぶりにドカカーンと盛られたウニ。ウニだけで腹が満たされたことがあるかい? フォークでウニをいくつも同時にぶっ刺して塊のまま口に放り込んだことがあるかい??

 はっきり言って、

 うまい。

 うまいというか、もううまいうまくないの話じゃないんだって。もうなにしろ、幸せなんだって。そりゃうまい。新鮮な取れたてのウニがてんこ盛りだよ。うまいに決まってるだろ。
 でも、うまさ以上に、幸せなんだよ。目の前にこれだけ大量のウニがあって、そしてその大量のウニを全て自分1人で食べられるこのような状況だぜ? もうフォークでひと刺し、いくつものウニを同時に口に含んだ瞬間の幸福感。至福の時。こんなこと日本でやろうものなら、あまりのもったいなさに間違いなくお母さんに怒られるぜ。食べ物のありがたみをわかっていない贅沢野郎として、マスコミに糾弾されるぜ。ネットニュースはそういう話題が大好きなんだぜ。

 でもなあ。
 ただひとつ欲を言わせてもらえば、このソースなんだよな。
 たしかにマヨネーズ&チリ辛ミックスにウニをつけると美味いウニだ。間違いなく美味い。しかし、一番は何か。最適なもの。最もウニにフィットするソースそれは、そう、醤油ではないか。ああ、醤油さえあれば……。などとそこまで考えるのはあまりにも身の程知らずの贅沢なので、チリ辛ソースで満足しなければ。身の丈にあった贅沢をしなければ。チリ辛ソースだけだと日本人の口にあわずにイマイチなのだが、これがマヨネーズと混ざると辛さも抑えられて実にマイルドで味わい深いウニソースとなる。そしてウニソースが足りなくなったら「サルサポルファボール(ソースお願いします)!」と店員にお願いして追加ソースでウニをまたひと塊おちょぼ口に放り込むのである。

日本人宿

 帰国前にどうしてもこれは書いておきたかったということがある。「どうしても書いておきたかった」と言うとまるで書くことを職業にしている人や書くことが得意な人みたいで生意気なので、言い換えるとどうしても言いたかったことがある。それは、海外で日本人宿に宿泊する人々についてのことだ。

 中南米にも、大きな観光地や首都には日本人旅行者が多く集う、岩緩(いわゆる)「日本人宿」と呼ばれている安宿がある。そういうところになぜ日本人が集うかというと、日本語で喋れるという安心感、宿の中の治安がいい(盗難が少ない)という安心感、あとは情報交換がし易いというメリットがあるためだ。日本語で書かれた旅人同士の寄せ書きのような「情報ノート」と呼ばれるものもあり、ガイドブックには載っていないマニアックな情報が得られることも多い。

 しかし、はっきり言ってこういう日本人宿というのは、結構な確率で人間のクズどもが集まってしまう場でもあるのだ。
 もちろん基本的には、ごく普通の常識的な旅行者が集まる場ではある。しかし、そんなごく普通の旅行者が、長期滞在している少数のクズどものせいで大変居心地が悪くイヤな思いをしなければならない、というのが多くの日本人宿の現状であるのだ。

 このあたりのことは旅行中に他の日本人旅行者と何度も話し合って合意した内容であるので、別にオレだけが強硬に主張していることではなく、普通の旅行者はほとんどみな共通して思っていることである。「ああ、オレもあの宿はすげー感じ悪かったからすぐ次の町に移動したんだよねー」という話が誰からともなくポンポン飛び出るように、旅行者にその町の滞在を諦めさせて、無理やり次の場所に移動せざるを得なくしてしまうほどの居心地の悪さを持つ日本人宿が世界中にいくつもあるのだ。

 ある日本人宿に滞在した時に気分良く(というか普通の気分で)過ごせるかどうかというのは、そこに「閉鎖的な長期滞在グループ」がいるかどうかという、この1点にかかっているといえる。逆に言うと、その宿に1ヶ月も2ヶ月も居座っている長期滞在者がおらず、短期滞在者のみで宿が構成されている場合はたとえ宿自体の設備が少々悪かろうとも周辺の治安が悪かろうとも、ほとんどの場合とても雰囲気良く日々の旅行生活を送ることが出来るのである。

 今回の旅での個人的な経験では、メキシコシティのサンフェルナンド館、クスコのペンション八幡、リマのペンション沖縄などは短期滞在者ばかりもしくは長期滞在者がいてもちゃんと挨拶も会話も出来るまともな人であったため、気持ち良く宿泊することが出来た。逆に、グアテマラ・アンティグアのペンション田代、キトのホテルスクレ、ラパスのホテルエルソラリオなどはまさにダメ人間の巣窟という表現がぴったりの、腐りきった雰囲気であった。スクレとエルソラリオは、夜遅くまで白人含めたバカどもが騒ぐしあまりにも(一部長期)滞在者のレベルが低く雰囲気が悪過ぎるためにオレも1泊だけして宿を移るハメになったほどだ。

 とはいえ、これは決してその宿自体の問題ではなく、単に宿泊者だけの問題であるので今名前を挙げてしまったそれらの宿も現在の時点では最高な環境・ワンダフルな雰囲気に変わっている可能性は大いにあるし、逆にオレが雰囲気が良いと感じた宿が今はイマイチになっているかもしれない。実際、メキシコシティのサンフェルナンド館はオレは今回の旅で最高の部類に入る良い宿だったなあと思っているのだが、後にペルーあたりで知り合った日本人旅行者はメキシコに滞在していた時期が悪かった(数年前)らしく「あの宿だけは二度と泊まりたくない」と散々に文句を言っていた。やはりその時には長期滞在グループが偉そうにのさばっていたらしい。

 具体的にそういう長期滞在者がどういう態度かというと、これはもちろん全員に当てはまることではなく一部の長期滞在者ということであるのだが、まず、挨拶をしないのだ。
 長期滞在者は、本当に挨拶をしない。
 こんな母国から何万kmも離れた南米まで来て同じ宿に日本人が泊まっているのだから、初めて出会った時、そして1日で最初に顔を見かけた時は、先に気付いた方が「おはようございます!」「こんにちは!」とにこやかに挨拶するのが当たり前であるし旅人としていや人として基本の礼儀なのだ。しかし、長期(悪)の奴らは向こうから先にこちらに気付いても、全く挨拶をしようとしない。ニコッともしないである。むしろ、通りかかってもそのまま無言で通り過ぎる始末である。テレビを見ていたら無言でテレビを見続けるし、マンガを読んでいたら無言でマンガを読み続ける始末である。
 もちろん、それでもオレは(そして他の常識的な旅行者も)向こうに素通りされそうになっているなと感じてもオレが相手に気付いた時点でこっちから「こんにちは!」とにこやかに挨拶をするようにしている。これは、半分はマナーとして当たり前だという気持ちと半分は「てめえバカか挨拶くらいしろよガキじゃねえんだからよ」というイヤミの気持ちも含まれた、2重笑顔の挨拶である。

 しかし、たとえそのようにこちらから挨拶をしたとしても、1.笑顔にならずムスッとしたまま低音で「こんにちは……」と面倒くさそうに返って来る 2.ムスッとしたまま(偉そうに、上から目線で)頭だけちょっと下げる 3.ムスッとしたまま無視 4.バカにしたような笑い(特に女に多い)
 の4パターンのうちのどれかの反応が来るのである。
 これが日本人か?? こんな奴らがおそらく日本で「オレ昔南米を1人で旅してたことがあってさ~」と武勇伝のようにそれしか自慢するところが無いものだから自慢げに語るものだから、その人物の周辺の人々から時によりバックパッカー全体が低俗でしょーもない人間だと思われてしまうことがあるのである。
 また挨拶だけでなくその先も、こちらから何か話しかけた時も、基本的に反応が無いことが多い。本当に面倒くさそうなのだ。別に難しい質問や教えて教えてと質問攻めをしているわけでもなくただの世間話を友好関係を築こうとして投げかけている時にも、こちらの顔を見ようともせず、ぶっきらぼうにひとことふたこと返って来るだけである。そのくせ、既に彼ら彼女らが仲良しグループを形成している同じ長期滞在者メンバーがやって来ると、人格が変わったかのようにいきなり楽しそうに夜中であろうとバカでかい声で笑い声をあげて大はしゃぎで騒ぎ出すのである。

 基本的にこいつら長期滞在者・悪(※もちろん長期滞在者・善もいるが今回は長期滞在者・悪についてだけの意見を述べております)は、その宿に長く滞在している人間はここ最近宿にやって来た旅人よりも、「自分の方が偉い」と思っているのである。こちらの挨拶に頭をちょっと動かすだけで応じるところなど、まさにその思想をよく表している。その態度は体育会系の先輩が後輩に取る態度であるのだ。
 彼らは、日本で誰に対しても先輩になれず敬ってくれる人間も1人もおらず、居場所が無く心が満たされずどうしようも無いものだから、海外に出て移動も観光も放棄して日本人宿でだらけて短期滞在者に対して偉ぶってみて、そこでようやく自分は誰かよりも偉いんだと自分だけで納得して心の隙間を埋めているのである。その惨めな心情には多少同情の気持ちも沸くが、しかしそれで迷惑をかけられてはたまったものじゃない。ましてや日本人宿の居心地が悪いせいですぐにその町の観光を切り上げなければならない旅行者が何人もいるほどだから、もはや迷惑とはいえ犯罪的である。前述のペルーで会ったTくんはそのせいでメキシコシティをすぐに離れることになったし、コロンビアで会ったAさんはアンティグアを1泊で出る羽目になったのである。

 そのアンティグアのペンションTというところにオレが滞在していた時、食事後に帰ったら宿の鍵が開かずに四苦八苦したことがある。滞在者は各自自分用に鍵を渡されているのだが、その宿の入り口の扉の鍵というのが時によりどうにも外から開けるのが難しい(閉まり具合により開けるコツがいる)ことがあり、たまたま同じ時間に帰って来た他の宿泊者と2人でどうやって開けるんですかねー、右回しですかねー、左回しですかねー、ダメですねー、なんてやっていたのだ。
 結局5分ほどガチャガチャやってなんとか開錠、ドアは開き宿に入ることが出来たのだが、その時ドアを開けてすぐ目の前の宿の共有スペースには、宿PCを使ってメールチェックの真っ最中の長期滞在者(若いヒゲヅラ男)がおり、オレはあまりの驚愕で開いた口が塞がらなかったのである。
 というのは、そのドアは外から鍵を使うと今のように時折開けるのが困難になることがあるのだが、中から開ける場合はただ取っ手を引っ張るだけなのである。つまり、オレたち2人の宿泊者があーでもないこーでもないと騒ぎ立ててガチャガチャやっている時に、彼はその騒動を耳にしながら「中から開けてあげよう」というほんの5秒で出来る親切にも思い至らずに、平気で自分だけのメールチェック作業を進めていたのだ。
 宿の中にいる時に外から誰かがドアを開けようとしたらその音はとても良く聞こえるし、実際にオレが中にいて外で鍵を開けるのに苦労している人がいたので中から開けてあげて「あ、どうもすみません」「いえいえ、この鍵って開け辛いですよね」という日常会話が展開されたことは何度もある。その程度の簡単な話なのだ。それを、当時の長期滞在者は何分間もずっとオレたちがドアを開けようと苦労している騒動を、聞いていながら全く完全無視していたのである。

 たしかに宿の規則として「誰だかわからない人(主に現地の人)が訪ねて来てもドアは開けてはいけません」というものがあるのだが、オレたちはその時確実に日本語で「開かないですねえ」「どうなってるんですかねえ」と騒いでいたわけだし、もうひとつおまけに訪問者が誰だかわからなかったらすぐ近くにある窓から覗いて確認出来るようになっているのだ。PCから離れてほんの3歩あるいて窓から見てみれば、新顔の日本人宿泊者2人が困惑している姿が丸見えなのである。それを彼は、自分は中にいるのだし仲良しグループじゃない新入りの後輩が宿に入れなくても知ったこっちゃないな、どうせあいつらすぐに宿を出て行く奴らだしな、という判断で無視し続けたのである。

 日本人宿の長期滞在者というのは、例外の長期滞在者・善を除くと共通してこういう体質なのである。自分たち似たものグループだけで絆を深めて宿を取り仕切り、新しく入って来るものをかたくなに拒む。とりあえず宿泊者全員が気持ちよく過ごせるために笑顔の挨拶も簡単な話しかけも「面倒くさい」ためにしないし、逆に仲間うちだけの時は他の宿泊者が寝ている時間にも関わらず大声でバカ騒ぎする。食事に行くにしてもどこに行くにしても、グループ以外のメンバーは絶対に誘わない。そもそも挨拶すらしない。話しかけない。挨拶をされても話しかけられてもぶっきらぼうで適当。
 こういう奴らもバックパッカー、長期旅行者だと思うと、オレまでも自分が今現在バックパッカーであることを恥ずかしく感じてしまうほどである。

 過去の旅を思い出すと、ヨルダンのクリフホテル、トルコのツリーオブライフ、インドのパヤルホテル、タイのカオサントラベラーズロッジなどは日本人宿であるが気持ち良く過ごすことが出来た。エジプトのSファリホテル、パキスタンのRーガルインターネットイン、カルカッタのホテルPラゴンといった宿は逆に非常識人の巣窟であった。
 そう考えると、せっかく日本人旅行者がこぞって目指す日本人宿なのに日本人宿は50%の確率でろくでもないということになる。なんと残念なことだろうか。今回名前を出した宿についての意見はあくまで滞在当時のメンバーに対する個人の感想であり、現在の状況や宿の設備について述べているものでは一切ありません。

 つまり何が言いたいのかというと、日本を離れて遠い異国の地を巡っている仲間であるのだから、見知らぬ人間であってもお互い思いやりを持って気持ちよく旅をしましょうということを、言いたい。私はそれを言いたい。
 これからバックパッカーとして旅に出る予定のある人がいたら、ここで書いたような、旅を忘れた長期滞在者にだけはなって欲しくないと思う。それはダメ人間なのだから。そしてたとえずっと日本にいるとしても、あなたは旅を忘れた長期滞在者になっていないだろうか。

ハガキ

 何名かの大変心の広いお方さま、カラムーチョどうもありがとうございます。こちらからハガキを投函いたしましたが、地球の裏側からなので到着まで時間がかかることと思います。多分僕の方が早く日本に着きます……。しばしお待ちください。とはいえたいしたものでは全然ないのですが。自分で書いていて思いましたが、字が下手すぎる。パソコンを使うとこんなにキレイに書けているのに。
 また、なにぶん南米からの郵送なので何があるかわからず、もし1ヵ月後になっても届かない! という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。ちなみに何名かの方から「南米からハガキ出す送料の方がカラムーチョより高いのではないか」というご指摘をいただきましたが、ポストカード+送料でだいたいスティックタイプカラムーチョ(112g)ひと袋分の値段です。ポテチタイプだと2袋ですが、いただいた物の内容を教えてもらった限り僕の方がずっと得をさせていただいているパターンが圧倒的に多いです。ありがたいことでございます。
 僕の日程と郵便局の営業時間の都合で16日以降にいただきましたものについてはこちらで投函が出来ず、日本の消印になってしまいますがどうぞご容赦ください。ハガキ自体はあと数枚はこっちで購入したものがありますが、使いきってしまったらハガキすら新宿御苑の写真とかディズニーキャラクターとかになるかもしれません。メルヘンな僕の性格を表しているということで、ディズニーでもご了承ください。たとえおしゃれキャットのマリーちゃんの絵ハガキだったとしても。全裸だったとしても。

刺された

 26時間バスに乗っている間に、なんか変なのにジーンズの中に侵入されてめちゃくちゃ刺された……。

 内股も刺されたし、足首も。こんなでかくて多い虫刺されは初めてだ。いたがゆくて夜も眠れないんだよ……。もうイヤだ。自分の体なのに虫刺されの跡が酷くて気持ち悪い。自分の体が気持ち悪い。もうイヤ。助けて~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっっっっっっっっっっっっっっ

Ashi

カラムーチョありがとうございます。

 高いところにいるので、カラムーチョだけが唯一の希望になっています。カラムーチョを送っていただいたお方さま、まことにおありがとうございます。心よりおありがとうございます。
 カラムーチョは単純に食べたくてたまらんのですが、ただカラムーチョ自体も単純に食べたくてたまらんのですが、カラムーチョをわざわざ買って送ってくれるような人が僕にはいるんだというそのことが、カラムーチョ自体も単純に食べたくてたまらんのですがそれよりももっとありがたいのです。もちろんカラムーチョ自体も単純に食べたくてたまらんのですが。でもカラムーチョというお菓子だけのものではないのですこのありがたさは。カラムーチョ自体も単純に食べたくてたまらんのですが、カラムーチョをわざわざ買って送ってくれるような人が僕にはいるんだというそのことが、それが光の無いこの個人的な世界での救い、本当にモチベーションになっています。おありがとうございます。この気持ちというのは、貴重なものだと思います。他の旅行者の方々はなかなか南米にいて感じられる気持ちではないのではないかと思います。ほんとにありがたいです。
 絵葉書、というかポストカードを書いておりますが、ただ問題としてポストカードといいますものは文字を書く部分がめっぽう少ないんですよね。片面しか使えなくて半分は住所になってしまうし。なのでお手紙とかいただいていてもきっちり内容に即した十分なお返事のようなことを書けない感じなのですが、とりあえず地球の裏側からということでご容赦いただければと思います。またそれはそれで別の時にお話できればと思っておる次第です。
 とりあえず15日までに到着カラムーチョについてはこちらからお礼を書いてポストカードを投函させていただきます。締め切りとかがあるわけではありませんが、それを過ぎると日本消印で届いてしまうと思いますのでどうぞカラムーチョの日付の扱いにはご留意くださいませ。時が狂ってるほど下手ですが南米のテーブルの上で書いております。おありがとうございます。カラムーチョおありがとうございます。ああ、カラムーチョ……

高い

 低くなりたい。もう高いのは勘弁してほしい。こんなとこで息ができるかっっ!!!!!
 ナスカが最後の低いところだった。アレキパで高度2300mまで一気に上がって高山病が爆発しました。それからプーノ3800m、クスコ3600、ラパス3600、ポトシ4000、ウユニ3800、国境付近5000、もうかれこれ3週間くらい富士山より低い場所に下りたことが無いっ!!!!!
 こんなことはよくない。我々は日本人なのだから、富士山が最高地点なのだ。富士山より高い地域なんかに適応できるように作られていないのだ日本人は。だから、低くなりたい。もしくは、急遽富士山があと2000mくらい成長してほしい。そうすればオレがいるところも富士山より低い場所となり、日本人でも問題なく活動できるようになるのだから。なるわけないだろうがてめえっっ!!!!
 万全な時はいいけど、体調を崩したり、精神状態がよくないと息を吸っても吸った感じがしないんだよ。特に夜。ストレスで一度起きてしまうと、吸っても吸っても息が出来ている気がしないで焦って呼吸を繰り返し、暗闇の中で1人はあはあ言い続けている超呼吸の犬もどき変態状態になる。低いとこはどこだっ!!!!!!!! あんた低いのかっ!!!! あんたのとこは低いのか!!!! そこに行かせろ!!!!! そこに!!! あんたが裸体で寝ている寝室に行かせろ!!! やましいことがあるわけじゃない!! ただ低くなりたいだけだ!!!

 日本から持参の財布が無くなったおかげで、今のニュー財布はこれである。こっちの人はたいてい金はポケットに入れており財布の需要が無いため、かろうじてファンシーショップで見つけたこんな子供財布になってしまった。

Saifu_2

 低くなりたい。身長が高いから他の日本人旅行者なんかよりもオレはもっと高くなってしまうんだ。たいていの白人旅行者よりは低いけど。こうなったら、ちゃんと呼吸が出来るよう低くなるためにはいはいで進むしかないのか。はいはいで移動するようにすれば、ちゃんと息が吸えるだろうか。それで低くなれるのか。低くして。僕を低くしてください。身長が高いままに低くなりたい。空気をくれ。

ぺろぺろ2

4コママンガ

 

おーい、ペロ×2(ペロペロ)!

Pero1_2 

 

 

 

 
 
 
なんだい?? 

Pero2

 
 
 
 
 

 

 

 

なんだなんだ? なんだなんだ??

Pero3

 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

あーあ、なんでもないのかよっっ!

Pero4

 

4コママンガ 終わり 

死死死死

 下ろしたばっかりの金を全部入れておいた財布をすられた……。気付いたらデジカメも無くなっていた。この3ヶ月でドライヤーを盗まれて宿代をぼったくられてUSBメモリーは3回落として1回は不良品でその度に買い直していたけど、今回が最高の被害額だ……。カメラは予備があるからなんとか写真は撮れるけど
 もうダメだ。大陸ごと沈めよ南米てめえ。
 ウソ。そんなひどいこと思ってないよ。
 もうダメ。もう立ち直れない。もうダメだ。ああーーーくそーーーーーーーー 財布も無いからお金を入れるところが無い。ポトシ死ね。ポト死。おかげで風邪をこじらせて咳が止まらなくなった。こんなところで3泊もする奴がいるか? いない。オレ以外は。財布に入っていた方位磁石もチェーンロックのキーも無くなった。チェーンロックが開かない。この金で自分でカラムーチョを買ってたらいったい何万本のカラムーチョが買えたんだ……(涙)。証明写真も絆創膏も盗られた。オレの絆創膏でそんな悪人の傷を治して欲しくない。咳が……喉が……死死 寒い。


さくら剛コミュニティ

 mixiというコミュニティサイトがあって、多分8割ほどの人は参加しているのではないかと思うのだが、そこにありがたいことに「さくら剛コミュニティ」がある。
 ありがたいことにといっても、少し前には「旅先のさくら剛を励まそう」といって書き込みをしてくれる人が、なぜかみんな励ましの言葉ではなく今日食べた晩ごはんのメニューを書き込むという、励ましの名を借りた嫌がらせが行われていた場である。最近では、ひものちゃんがさくら剛の好きなスナック菓子について情報を書き込んでいてちょっと恥ずかしいなあ。
 誰しもそうだと思うが、やはり自分のコミュニティがあると人数が気になってしまうもので、時々他のコミュニティと人数比べを行い比較検討してみるようなことがあったりする。以前、350人くらいだった時はかろうじて「ゴキブリコミュニティ」には勝っているが、「蜘蛛コミュニティ」には負けているという状況であった。つまりその時点でのわたしは、ゴキブリ以上蜘蛛以下だったわけだ。
 そこで、たしかブログでも書いたような気がするが、しばらくは「打倒蜘蛛」をスローガンに日々奮闘していた。やはりこちらは引きこもりとはいえ人間であるので、ネコとかアルパカに負けるならまだしも、どう考えても気持ち悪くてたまらない足の長さが胴体の何倍もあるミニ化け物みたいな存在に負けているのは、かなり屈辱的だったのである。体積なんて、オレの方が2000倍くらいは勝ってそうなのに。
 尚、引きこもりって言ってる割にはなぜか今は別大陸にいたりするが、それでも旅行者の中でも間違いなくオレは引きこもりの方なのだ。まさに引きこもり旅人という呼称がしっくり来るのであり、なにしろ宿に帰る時間が早い。5時過ぎに夕食を食べて、6時過ぎには部屋に入っているという、世界中のバックパッカーの中で最も帰宅が早い男と噂されている名高い人物それがオレなのだ。
 ともあれ、なんとか日本や世界にいるみなさんが少しずつ参加してくださったおかげで、蜘蛛コミュニティは打ち負かすことが出来たのだ。やっと蜘蛛を超えることが出来た。気持ち悪い野郎め。蜘蛛ごときがオレを上回るのは足の数と色黒さだけで十分だぜっっ。
 そして現在470人ほどの方がさくら剛コミュニティに参加してくださっているのだが、この数というのはたいがいの生物には勝っているかというと、それが全然そうではない。
 たしかに、苦闘の末、蜘蛛には勝った。ゴキブリにも勝った。しかし……、さくら剛コミュニティが470人なのに対して、今度はなぜか「ミジンココミュニティ」が670人もいるのである!!!!
 ミジンコだぞっ! ミジンコ!! 目で認識するのすら困難ネ存在だぞっ!!! 理性も無いし、あきれるほど単細胞な奴らだぞっ。体積なら、オレはミジンコに100万倍は勝っている自信がある。喧嘩をしたって、地上でなら100%勝つ自信がある。さすがに水中ではあっちのホームグラウンドなので、勝てるかどうかはわからないが……。だがまさか、そのオレの100万分の1以下の存在であるミジンコに負けていたなんて。たしかに蜘蛛には勝った。しかし今の状態は、蜘蛛以上ミジンコ以下ではないか。蜘蛛以上ミジンコ以下ってなんかおかしいぞ。普通ミジンコより蜘蛛の方がランク的に上に来るべきじゃないか???
 まあつまり、今の時点では蜘蛛とミジンコの間にオレがいるのである。マンコラとチンボテの間からようやく脱出したばかりだというのに。いたくないんだよそんなところにっっ。めちゃくちゃ居心地が悪いんだよてめえ!!!

 しかし、そうは言ってももはやミジンコとは差が開き過ぎているので、どうも勝てそうな気がしない。だって200人以上も負けているのだ。ミジンコは、オレには手の届かない遠い存在なのさ。手を伸ばしても届かない、彼方の存在ミジンコ。ただ、ミジンコはそれでもまだ生き物であり、一寸の虫にも五分の魂、命対命ということではオレとフィフティーフィフティーかもしれない。ところが、さくらコミュニティはミジンコだけでなく、おしゃぶり昆布にも負けているのである。「おしゃぶり昆布 浜風」という、おしゃぶり昆布の中でも更に商品を特定したおしゃぶり昆布のいち商品のコミュニティが、530人も参加者が集まっているのだ。オレはミジンコよりもそしておしゃぶり昆布よりも低い位置にいる存在なのか……。おしゃぶり昆布……。なんだよそれっ!!! おしゃぶり昆布ってなんだよ!!! 買ったこと無いぞ!!!!
 ちなみに、「山羊座生まれのゲイ」コミュニティにも負けている。山羊座生まれのゲイだ。山羊座生まれのゲイなんて、究極のマイノリティという気がするじゃないか。ゲイの方たちの中で更に山羊座生まれと限定しているグループよりもまだ負けているのだ。
 しかし一方では山羊座生まれのゲイの人たちも、ミジンコにもおしゃぶり昆布にも負けているわけだな。即ちオレは山羊座生まれのゲイの人たちと同じ位置にいるわけで、もし今後山羊座生まれのゲイの人と出会うことがあったなら、意気投合できるかもしれない。お互いに傷を舐め合い、ミジンコの悪口を言いながら。そのうち本当に舐めあったりして。
 他にも、マンガのキャラクターのコミュニティなんかもあり、例えばドラゴンボールの登場人物もそれぞれコミュニティを持っていたりするのだが、ランファンやパンプットに勝っていてもクリリンとかには圧倒的に負けている。もちろんクリリンといえばストーリー初期からの名物キャラクターであり、クリリンに勝とうなどそんな大それたことは考えていないが、クリリン本人ではなく、クリリンがストーリー中で1回だけ繰り出した技である「気円斬」のコミュニティにも負けているのだ。
 もはや気円斬などは、生物でも食べ物でも物体ですらなく、気である。存在すら危うい、気だ。また、あの弱いおっさん「ミスターサタン」ですら、700人近くもコミュニティの参加人数を持っていやがる。ミスターサタンといえば、孫悟空たちがナメック星であれやこれややっているうちに天下一武道会で活躍していた井の中の蛙的なヒーローだ。一時期は魔人ブウをミスターサタンが倒したというニュースが流れ、町の人々は「サーターン!サーターン!」とサタンコールを叫び彼を英雄扱いしていたが、ドラゴンボールを読んだ人なら本当に魔人ブウをやっつけたのは孫悟空で、サタンの強さなど虚構であるということをよくわかっているはずである。それをわかっている人はミスターサタンコミュニティになど入らないだろうから、この現在の参加者700人というのはドラゴンボールをまだ読んだことがなく、いまだにサタンが魔人ブウを倒したと信じ込んでいる愚かな人々なのであろう。もうこの際1人1人にメールで本当のことを教えてあげたいくらいだ。
 まあサタンはまだ人間だからともかく、自分がただの気である気円斬やおしゃぶり昆布以下の存在だと思うと、もうなにもかもどうでもよくなるのである。

 ということで打倒気円斬、打倒おしゃぶり昆布浜風が掲げられた昨今だが、このままどうしてもミジンコや昆布に勝てなかったら、最後の手段として死ぬという方法がある。なぜなら有名人のコミュニティなどは、その人が亡くなったというニュースが流れると一気に人数が増えるということがよくあるのだ。ZARDも三沢もいかりやさんも、訃報の後の方がかなり参加者が増えているようだ。クリリンだって、何度も死んだからあんなにコミュニティ参加者が増えたに決まっているじゃないか。はっきりいって、死んでコミュニティ人数を増やす→ドラゴンボールで復活する というのはずるいやり方だと思う。富樫源次も何度も死んでいるからコミュニティ参加人数は多いだろうが、死ぬという方法を使うのなら、正々堂々と一度きりにするべきだ。
 ともあれ、なんとかおしゃぶり昆布に勝つには最終的にオレが死ぬという手段があるが、ただやはり、おしゃぶり昆布との戦いに命をかけるのはちょっとイヤだ。命を捨てて戦いを挑んだ結果倒したのがおしゃぶり昆布では、どうもカリスマ化はされそうにないではないか。ああ、オレが実際に何週間後かに死んでしまってちょっとだけコミュニティの参加人数が増えて、「ううっ、さくらさん、あのブログが本当になっちゃったね……(涙)」なんて言われたらイヤだなあ……。神様どうか無事に帰してください。
 さあこのような前置きをしておいていよいよURLを張りますよ。さくら剛コミュニティ 
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2669954

 参加すると、特に特典は無いけれどなにかとイベントや出版の最新情報などはブログより早く書き込まれることでしょう。ああしかし、今この宿にいる宿泊者はオレだけじゃないかなあ。まだ夜の7時だし。オレ以外はみんなだいたい仲間を見つけて連れ立ってご飯とか飲みに繰り出してるんだよね。もう毎日そうなんだよ。日本人宿に泊まってる時ですらそうなんだぜ? 夜遅くにオレ以外のみんなが楽しげに話しながら一緒に帰って来るんだよ。うらやましくなんかないんだよっ!!! 

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