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どこでもドアをよこせよ

 全ての日本にいる人たちがうらやましい。牛丼食べたい。みそ汁吸いたい。「仕事で海外に行けるなんていいなあ」とか発言しやがった輩どもの首をタオルで優しく包んでやりたい。あくまで優しく包むだけだから。少しだけ強く力を入れて巻き付けて左右に引っ張って。もう死ぬ。死ね。死ぬっ!!!!
 最初の48時間は久しぶりに地獄を見た。家を出てから遂に再び部屋というものの中に入ることが出来るまでまる2日間。寝れないまま飛行機やバスを乗り換えて荷物は重くて肩が折れそうだし言葉があまりにも通じなくて異世界にいるようだし強盗に怯えるしとにかく何がなんだかわからんし。なんだ海外って。この世か? この世のものかこんな意思の疎通が誰とも出来ないという場所が。最後のバスではまじで人生が終わるのかと思うくらい気持ち悪かった。気力と体力をとっくにマイナスまで使い果たした状態で究極の車酔いが来て、もう死ぬと思った。あと5時間も窓が開かないバスに乗ってなきゃいかんという状態で究極来やがった。しかも、それで死んだところ5時間過ぎてバスから転がり出て町を歩いて宿に辿り着いても言葉は通じない上に日本を出てから40時間放浪しているこの期に及んで何件も満員で宿泊を断られようとはな……。もう涙も枯れ果てた。言葉が出ないとはこのことよ。
 信じられん。オレが「もうダメだ、もうダメだ……」と己の命の灯火が消え行こうとして絶望と気持ち悪さに襲われている時に、これを読んでいるオレじゃない人たちは気持ち悪くもなく周りの人間は全員日本語が喋れてその日の宿の心配もなく明日が来るのが怖くないとは。吐きそうな奴なんて誰もいないだろ今。たとえオレより吐きそうだったとしても、日本にいて吐きそうなら百億倍いいわ。特にオレを海外に行くようにしむけた史上最悪の極悪編集者が金曜の夜も土曜の夜もオレが見知らぬ土地で死線をさ迷っている最中に何不自由なくシャワーを浴びて布団に入って寝ていたと思うと、今度会ったら鋼鉄の処女(棺おけのようなものの中に人間を入れて、無数のトゲの突いたフタを閉めて串刺しにする拷問器具)にあいつを投げ入れてフタをする役をオレが喜んでやりたい。ウソ。喜ばない。喜ぶ。もうそんなことどうでもいいから、とにかく一刻も早く日本に帰らせてほしい。食べさせてほしい。おいしいものを。まだ気持ち悪い。既に2日間で自分で見てもわかるくらい頬がこけている。昼に食った肉にあたったような気がする。気持ち悪い。何が楽しいの旅って? 趣味が旅とかいう奴、バカじゃないの? 連休とかに喜んで海外旅行に出かける奴、頭おかしいんじゃねえか?
 ここで問題です。昨日考えたなぞなぞです。次の3つのうちで、ドラえもんがキライなのはどれでしょう? 1.ヒゲそり 2.ドライヤー 3.
 どうでもいいんだよ全てがっっっ!!!!!!!!!!! 死ねよっっ!!!!!! 気持ち悪いんだよっっっ!!!!!!! ドグサレ野郎!!!!!!!!!!!!!

 気持ち悪い

旅に出ます

 最近、こんなもの達を買いました。

 キンチョール

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 蚊取り線香

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 電池式どこでもベープ

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 お部屋に1回シュッ! おすだけベープ

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 スキンガード

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 ムヒ、キズウォッシュ、下痢ストッパ

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 命の水こと粉末スポーツドリンク

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 ビオレさらさらパウダーシートなど

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 リンスインシャンプーと石けん

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 リンスインシャンプーの小さいのがセーラームーンしかなかった……。

 明日から、何年かぶりに、旅に出ます。無事に旅が進めば、来年の寒さのピークが過ぎた頃に帰って来られると思います。無事に旅が進めば。

 はっきり言って、引きこもりにとって心の底から行きたくない旅です。もう昨日からあまりの怖さと緊張で動悸が止まりません。なんで日本を世界一愛している引きこもりの僕が海外に1人旅なんかに行かなくてはならないのか。

 これが、悪い奴がいるんですよ。とある会社に、この世の人間とは思えない極悪会社員がいるんです。その極悪人のせいで、僕はこれから何ヶ月も海外をさ迷いながら宿を探しトイレを探しシャワーを探し、快適な空間など無いまま強盗におびえて過ごすことになってしまいました。こんなことが許されていいのでしょうか? こんなにも1人の人間の人権がおろそかにされるということが現代の世にあってよいのでしょうか?

 本当に心から行きたくない。今まで何年も日本で過ごして来た、その何年分もの不安が今一気に爆発している。不安で意識を失いそうだ。不安過ぎて入院したい。心臓が危ないから。そうしたら旅に出なくて済むから。

 冬休み、年末年始、春休み、海外に出かける人もしくはバックパッカーの人たち、世界のどこかで会いましょう……。その時は、8:2くらいの割合で助け合いましょう。

 またすぐ何か事件や事故に巻き込まれて、もしかしたら1週間くらいで帰って来るかもしれません。反対に、帰って来られないかもしれません……。でももし無事に帰国できたら、僕をこんな目にあわせた極悪会社員を告訴したいと思います。法廷闘争です。凶悪事件なので、裁判員制度の対象となるはずです。世の正義というものを守るために、僕は立ち上がります。どうかみなさんも後に続いてください。そして、一緒に正義を示してください。

新刊のお知らせ

 新刊お知らせページ

 タイミングがサイトの終了と妙に重なってしまったのですが、新刊となる「インドなんてもう絶対に行くか!!なますてっ!」がPHP研究所さんより発売になりました。

 文庫を除けば4冊目となるこの本ですが、本当は僕の中では夏休みくらいに出ればいいなと思っていて、サイトの連載の終了とかぶる予定は全然なかったんですが、いつものごとくごちゃごちゃあってじわじわと発売が延び、本当に偶然にサイト終了とほぼ時を同じくして本のお知らせもすることになってしまいました。サイトのあとがきをあっさり下げることになって本意ではないのですが、まあもっと遅くなって誰もこのサイトにアクセスしなくなってから発表するよりはいくらかマシだったかなと思います。まだあと数日くらいはみんなお気に入りからも消さずにサイトの方にアクセスしてくれそうなので……。

 この本の内容ですが、中国初恋の中のアジア横断の中のインド編(+ちょっとパキスタン)をまとめてあちこち書き直し、さらに初めて世に出ることになるニューデリー駅での外国人チケット売り場再戦編と、ぐちゃぐちゃホーリー死闘編を収録しています。

 画像だけ見ると、帯に「各紙で驚愕の大絶賛!!」と書いてあるように見えますが……、本当に各紙で大絶賛されたのでしょうか?? この文句は本当でしょうか?? その答えは、お近くの書店でこの本を手に取ってくださったらわかると思います……。

 なんだか宣伝すみません。でも、がんばって作りました。もし機会があったら、お手に取って立ち読みでもしていただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

あとがきに代えて

 サイトの旅行記が最終回を迎えて、実は最後のその次に「あとがき」を更新するつもりだったのですが、今日アップしようと思いあらかじめ書いてあったあとがきの文章を読み直してみたら、おもしろくもなんともなかったのでやめました。

 しかしその中には「ご愛読ありがとうございました」という言葉はあり、6年以上も更新を続けてこられたのは読んでくださった人たちがいるからだということ、それが無ければ絶対にモチベーションを保つことは出来なかっただろうということ、これはどこかでは言わなくてはいけない大事なことだなあと思い、一応この場でこの件に触れさせていただくことにしました。このブログをもって今までこんな僕の旅行記を読んでくださった方へのお礼とさせていただければと思います。

 みなさんご存知のとおり、いつの間にやらもう僕はそれなりの年齢になりました。サイトを更新している6年間、途中で旅に出て更新が止まったりもしましたが、日本にいて働いている時は休日は必ず旅行記を書いていました。最初はもちろん自分の意思で趣味でやっていたわけですが、途中からは趣味なのか義務なのかよくわからないなにかしらの使命感に取り付かれていて、もちろん給料は出ないけどやらなきゃいけない仕事のような気分で書いていました。旅行記を書くということもしなくていい、本当に何もやらなくていい1日リラックスできる休日というのは、6年間でいったい何日あったことか。2年くらい前の元日に「今日だけは何もしないで本当の休日にしよう」と思った記憶があるというそれくらいで、ほとんどここ何年か休日気分(1日好きなことが出来るという)というのは味わったことが無いような気がします。

 ただ、そもそも今はかろうじて文章を書くことが仕事になっているわけで、文章を書くことを仕事と考えるならばそれこそここ6年くらいは会社での仕事+旅行記で週休じゃなくて年休2日くらいしか無い働き者だったということになりますが、しかし逆に旅行記を書くというのは元をただせば休日に趣味でやっていたことなのだから、それを今は毎日やっている状態だと考えると今の僕の生活は会社に行かずに年休365日、毎日休んで趣味に励んでいるただの無職、ということになります。どっちなんだろう。

 ただ、これから文章を書くことで稼げなくなってしまった時に、またどこかの会社に通い出して休日はサイトを更新するかというともうそんな生活はしないと思います。休みも欲しいしまた何か別のこともやりたいし。というような気持ちで今はいますので、もし今後ブログ以外できちんとした章として成立している僕の新しい体験記や文章をみなさんが目にする機会があるとすれば、それは多分、本という形になるのではないかと思います。

 とはいえ、自費出版(=共同出版)でもなくちゃんと出版社から本を出すとなれば、商売として成り立たないようなものは全く相手にされません。だからもし今後も僕の新しい文章を読みたいと思っていただける方がいたら、できれば本を買ってくださるとありがたいです。正直な話、図書館やブックオフやamazonの中古でたくさん回転していても全く先に繋がらず、ただ「過去に出した本がお金を払って買ってもらえているか」という、それだけが唯一出版社に対する説得力であり未来の新しい本に繋がるものなんです。まさに唯一の指標です。あんまりこういうことを自分で書くのはイヤなんですけど、でも今はそれにかかっているものがとても大きいので、たまには書くしかないって感じで覚悟して書かせていただいております。ご容赦ください。もちろんお金を出してまで読む価値が無いと思う方はそれは人それぞれの自由なので、そういう方がほとんどならただ僕は文章の世界から求められずに消え行くのみです。まさしく自然淘汰です。それは「1300円出しても読みたい」と思ってもらえるものを書く力が無かったという僕の無力さのせいなので、消えるべくして消えるということでしょう。まあつまり、この先どうなるかは全然わからないということです。

 とりあえず「作者」という名前はこれで引退しようと思っています。とはいえ「さくら剛」として活動できるのはいったいいつまでなのか、それも謎です。できるだけ頑張れればいいんですけど。とりあえずはまたサイトをまとめた本が1冊は出るので、その先もう1冊、次は全くの新刊、というようにコツコツ続けていくことが出来ればそれが一番理想です。でも、1年後には消えていて「さくら剛」という名前は過去の遺物となっているかもしれません。

 まあ、あれこれ言っていてもしょうがないです。とにかく今まで貴重な時間を割いて僕の旅行記を読んでくださった方、応援してくださった方、本当にどうもありがとうございました。もしこれから先もお付き合いいただけるのであれば、どうぞよろしくお引き立てくださいますようお願いします!

ねずみは米が好き

 特に孤独や苦しみが強い時に町で流れていた旅先での音楽というのは、帰国してから何かの拍子で耳にするとそのまんま当時の思いが蘇って来て非常にジーンとくる。その当時の体験が辛ければ辛いほど、日記や写真や音楽によって呼び出される気持ちが大きくなる。これはなんとも言葉では表現し難い感情で、なんの高ぶりかははっきり説明できないまま、しかしきっかけを与えられることで突然ドーーーーン!!!!と凄い動揺がやって来るのだ。

 懐かしさと自分への同情と「よくやった」という気持ちと心細さと、いろいろなものがミックスされた激しい思いで、このドーーン!という感情を体験出来る自分になったということ、この気持ちは、一人旅というものに出かけて得た貴重な財産かもしれない。
 その突然の揺さぶりを呼び起こす元となるのは写真や人の旅行記やテレビやいろいろな要素があるが、それよりも何よりもやはり音楽の力はズバ抜けて大きい。

 そんな数ある個人的な「聞くと大変なことになる音楽コレクション」の中に中国の「老鼠愛大米」という歌がある。日本語に訳すと「ねずみは米が好き」。サイトの中国旅行記の中でもヘンなところで一度登場したのだが、これは後から知ったところによると、中国から発祥していろんな国に渡り、いろんな言語のバージョンが作られているらしい。

 これはいわゆる恋に関する歌、ラブソングというものだ。よってこれからYoutubeの動画が貼られているが、音楽や恋愛や殊勝な展開に特に興味が無いという人は先に進まない方がいいと思う。あまり面白みを感じられるものではないので。

 元々この歌を作った元祖のお方は男性の歌手らしいが、今では中国国内でも様々な歌手が歌っており、下にある映像はTwinsという2人組のアイドル歌手のPVである。できたら、時間のある時にゆっくり聞いてもらいたい。ちゃんと聞いてみると、この「老鼠愛大米」、特に旅の思い出が無くても、言葉がわからなくてもなんとなくいい歌だと思えないだろうか?

老鼠愛大米(中国語)

 

 漢字字幕がついているので、部分的な意味はわからずとも全体的にはなにやら切々と自分の恋する気持ちを語っている歌だというようなことはわかるのではないかと思う。わからない場合は直接訳をどうぞ

 そしてこの曲は英語にもなっていて、Englishバージョンでは「Mouse Loves Rice」というそのままのタイトルである。英語ではあるのだが、これは歌詞がとっても簡単な単語と文章で成り立っており、またこれも動画を貼っているがおそらくほとんどの人は字幕を見てどういう意味なのかは理解できるのではと思う。この英語の歌詞は、元の中国語の内容にだいぶ近いようである。これもぜひ心に余裕がある時にゆっくり聞いて欲しい。ただ、ちょっと埋め込みだと小さくなってしまって字幕が読み取れないかもしれない(特に最初の1行はぶっつぶれている)ので、直接このYoutubeの別ウィンドウで見た方がいいかもしれない。歌詞も右上の枠の中に書かれているので、じっくり見られるよ。

Mouse Loves Rice(英語)

 

 聞きましたか? どうでしたか?? いい歌でしたか??

 なお、歌詞の部分に意識を向けていると、よっぽど英語が堪能な人でなければ映像の部分には目をやる暇が無い。なので、一度英語の歌詞を理解したらぜひ2度目は中国版の内山君みたいな男性が出てくるPVの映像自体に注目して欲しい。旅の思い出などなくても、人生で辛い経験を乗り越えて来た人ならば、心を打たれてしまう映像だと思う。まさかこれが中国で作られたPVだなんて!!とショックを受け、ある程度中国に対する印象も変わるほどのものではないだろうか。

 ところが、今回言いたいことは何かというと、いつも特に言いたいことがあって書いているわけではないのであるが、この歌には日本語バージョンもあるのだ。NHKの「みんなの歌」で流れていたお子様バージョンなので、ふと再生してみると最初にチューチュー言っていてガクッとなるが、しかし、この日本語バージョンをまた歌詞に注目して聴いてみてほしい。先ほどの英語のストレートに自分の思いを相手にぶつける歌詞と比べて、だいぶ違いがある。
マメ知識:「我愛イ尓(ウォーアイニー)」というのは、「I love you」という意味だよ。

ねずみは米が好き(日本語)

 

 というのが、日本語。

 とにかく私があなたのことをどんなに好きですということを強く伝えるのが英語の歌詞。好きだけど言えないけど好きですというのが、日本語の歌詞。どうだろう。自分の気持ちをストレートに伝えてこそ、伝えなければ意味が無いというポリシーの人、つまり英語歌詞の生き方の人も世の中にはたくさんいると思う。

 しかし、オレはこの日本語の歌詞こそが、日本人の持つ奥ゆかしさや良い意味でシャイで控え目でガツガツ出来ない、穏やかな日本の心というものをすごく良く表している気がして、とーっても大好きなのである。まさにこの歌詞の内容こそが、日本人の心の美しさだと思う。そして原曲と少し方向性が変わってしまうのにもかかわらずあえて日本語にする際にこの歌詞をつけた人は、なんて才能のある人なんだろうと思う。ただ中国語を喋れる人、ただ英語を喋れる人ではとてもこんな素晴らしい翻訳は出来ないのではないだろうか?

 とはいえもしかすると翻訳した人とそれをまた曲にあわせて歌詞に直した人は別かもしれないが、とにかくこれらの歌を聞いていると、中国も日本も両方とも美しいところがたくさんあるんだなあ、世界が平和になればいいなあ、と……、時々は殊勝な気分になって、漠然と思うのだった。

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