さらりとした梅酒
やっぱり自宅で飲めるおいしい梅酒といったら、「さらりとした梅酒」だと思う。伊東美咲がCMで「さ~らりとした~う~め~しゅ~♪」と歌う姿は美しく心癒されるようで強く人々の印象に残っているだろう。だから、梅酒好きな人の中でもさらりとした梅酒の知名度は抜群で、梅酒を愛する人はみんながみんな、さらりとした梅酒を飲みたくてたまらないと思う。ちなみに、あれは歌だけでなく商品名も「さらりとした梅酒」なのである。
ところが、おいしくてみんなが飲みたいと思うものは、当然少々値段もお高くなる。なにより、さ~らりとした~う~め~しゅ~♪と美人女優を起用したCMを頻繁に流しているのだから、その広告費というのは莫大なもので、その分は商品代金に上乗せされてしまうのだ。ということは、梅酒好きのお父さんがいくらさらりとした梅酒が飲みたくても、家計の問題でそう簡単に買うことは出来ないかもしれない。お母さんは、「なあ、普通の梅酒じゃなくて、さらりとした梅酒を買って来てくれよ!」と駄々をこねるお父さんに困らされ、財布を覗いてため息をつくことが多いかもしれない。
そうやって、出来れば倹約のために安い梅酒を買いたいけど、お父さんが「さらりとした梅酒を飲みたい」と言って聞かずにどうしたらいいかわからないというお母さんに、おすすめの解決方法がある。オレも不況で苦しんでいるご家庭のため、日本経済のために何かしなければいけないと考えたのだ。まずは梅酒代金を節約することから始めよう。こうすればこだわり派のお父さんを安い梅酒で満足させられるという、そのやり方は、これだ!
お父さん「(居間からキッチンに向かって)おい、かあさん! 梅酒が飲みたい! いつもの『さらりとした梅酒』持って来てくれよ!」
お母さん「はいはい、わかりました」
お母さんは安い梅酒を手に取り、居間に向かう。そして、お父さんの方から見えるか見えないかギリギリの場所に立ち、チラチラと安い梅酒を見せて歌う。
お母さん「ち~らりとした~う~め~しゅ~♪」
お父さん「えっ、なんだそれ、なんの歌?」
お母さん「(少しずつお父さんに近づき、今度はエプロンに安い梅酒を隠して時々チラチラと見せながら)ち~らりとした~う~め~しゅ~♪ ち~らりとした~う~め~しゅ~♪」
お父さん「わあっ! さらりとした梅酒じゃなくて、ちらりとした梅酒だね!? まあそれならあんまり変わらないからいいや! ありがとうお母さん!」
…………と、いうように、この方法を使えば、梅酒好きのお父さんも満足し家計も安心、夫婦の間のつまらぬいざこざもきっと避けられるであろう!
尚、本物の「さらりとした梅酒」をエプロンからチラチラと見せる場合は、その時に歌う歌は「ち~らりとした~さ~らりとした~う~め~しゅ~♪」というように少し長くなる。さらりとした梅酒を容易に購入できるような富裕層のご家庭のお母さんは、こちらのバージョンの歌を歌うようにしてほしい。
もしかしたら今後本当に「さらりとした梅酒」の廉価バージョンで「ちらりとした梅酒」が発売されるかもしれないが、その時はCMでも出てくる女優が手とか足だけチラチラと見えるだけで結局誰だかわからないという、もちろんCMソングは「ち~らりとした~う~め~しゅ~♪」だが、そんな感じなら有名女優を起用する必要も無いので、広告費は安く抑えられ、販売価格にも反映出来ると思う。ちらりとした梅酒商品化検討の際は、発案者としてぜひそれ相応のロイヤリティーを貰いたいと思っている。