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ウソをつきます

 今日は4月1日ということで、各方面のホームページやブログや日記を見るとどこもかしもエイプリルフールネタばかりである。なのでここはひとつオレも便乗してウソをつこうと思う。
 しかし、「今からウソをつきます」とあらかじめ宣言してからウソをつくというのは、かなり難易度が高いことだ。ウソをつきますと言った以上もう相手はこっちのウソを警戒してしまい、その後はこちらが何を言っても全て「ウソじゃないか?」と疑ってかかることになるだろう。エイプリルフールにわざわざネット上に公開してつくウソなんていうのは、ウソだとすぐにわかるウソではいけないわけで、多少なりとも相手にそのウソを「もしかして本当?」と信じさせなければならないというのがルールじゃないか。例えば「今からウソをつきます」と言ってから「僕は宇宙人で~す」などと誰もが本当だと思わないことを言っても仕方がないし、「今日うちに泥棒が入ってお金を盗まれちゃいました」と言っても、その前に「今からウソをつきます」と宣言してしまっているからには「泥棒が入った」という話がウソだというのはすぐにみんなわかってしまう。
 繰り返すが、たとえ少しでもいいから誰かに「えっ、ひょっとしてそれって本当のこと?」と思わせないとウソをつく意味はないのだが、しかし先に「今からウソをつきます」と言ってしまうとその後にどんな上手いウソをついてもそれを本気にする奴はいなくなるので、「今からウソをつきます」と言ってからウソをつくと言うのはとにかく難しく難解で困難、至難の業(難×4)なのである。
 だが、そこであっさり諦めてしまうことは出来ないのだ。これでもオレは一応駆け出しの作家、文章を書くプロを目指す立場なのである。いくら難しいこととはいえ、普通の人が出来ないことをやる、それこそがプロなのだ。あの怪盗ルパンだって犯行の前には必ず予告状を送り、逢えて難易度を上げてから美術品やダイヤを盗むという芸術的な犯罪テクニックを見せているではないか。同じようにここでオレが「今からウソをつきます」と予告してから、読んでいる人を少しでも「えっ」と思わせるような容易には予測出来ないウソをつくことができたならば、それはオレもルパンに匹敵するようなプロのテクニックを見せたということになる。そして、自慢ではないが、オレは自分にはその才能があるような気がする。もう何年もホームページで、本の原稿で、常識外れの文章を書き続けているのだ。たとえ事前に予告していたとしても、周囲の心の準備のさらに上を行く、一般人の想像を超えたウソをうまく考え出すことが出来るのではないか! 今のオレは、もうそのくらいの技術は持っているのではなかろうか!
 こうなったら、それを確かめるためにもオレは本気で今からウソをつこうと思う。いいかみんな、最初から疑っていくんだぞ。今からウソをつくからな。でもオレは、そんなみんなの疑いなんてものともしない、見事なウソであんたらの度肝をぬいてやるからな!! 覚悟しろよ! ウソをつくぞ!!! というのはウッソーン。

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