めでたくない
2週間ちょっとの間、右目が紅白でめでたい感じだったが、もう赤い部分は完全になくなってしまった。これでもうめでたくも無ければ、わかりやすくもない。なんといっても白目が全部赤かったときには、出会い系サイトでうまく女の子と連絡がとれて待ち合わせをする時も、「僕の特徴をお知らせします。僕は、右目の白目の部分が全部赤くなっている男でございます。右目に注意して探してくれればすぐに見つけられるはずです。じゃあ明日の7時、吉祥寺の改札前であなたをお待ち申しあげております」と簡単に説明できた。あれは非常に楽だった。
しかし白目が人並みに白目になってしまったからには、もはや白目が赤目の人ですという説明文はオレを表さないので、これから出会い系では他の特徴、例えばこの世のものと思えないくらい可愛いとか、韓国の四天王の4人を全て足して2で割ったくらいのハンサム世界新記録保持者とか、見るからに叶姉妹の姉の方の愛人を2年間勤めていそうな筋肉質のジェントルマンとか、あまり自分で言うのは気が引ける自慢げな特徴を伝えなければならなくなってしまう。
でも、よく考えてみれば、そんなことで悩むくらいなら、そろそろ出会い系サイトを卒業した方がいいかなとも思う。なにしろ今は無職の身で、細々と貯金を食い潰して暮らしているにもかかわらず出会い系サイトの使用料で月7万も飛んでいってしまっているのだ。7万といえば相当なものだ。明治時代ならば、家1件買えてしまうほどの大金である。今は明治時代じゃないので買えないけど。それに、それだけの金を払っているにもかかわらず、10回待ち合わせに行って、本当に女の子がやって来るのは1回あるかどうかだ。しかもその女の子も森三中とハリセンボンを全員足して2で割ったくらいの強烈なパフォーマンスを持った外見の子で、いつも最初の挨拶より前に「あれ? 今って出前の帰りですか?」と思わず尋ねてしまい、「角野卓造じゃねえよ!!」とキレられることが多かった。マイケルムーア監督の時もある。
もちろん出会い系云々は全てウソなので本気にしないように。
しかし「目は口ほどにものを言う」というからには、オレの真っ赤な目は口ほどに何かを訴えていたに違いない。オレの目は、必死に何かをオレに伝えようとしていたのだ。「赤に注意しろ」である。多分、近いうちに赤鬼に金棒で殴られるとか、ひどい生理に悩まされるとか、赤福が賞味期限の改ざんで営業停止になるとか、赤紙が来てお国のために戦場に赴くことになるとか、赤い女性にひどく傷つけられるとかそういった悪いことが起こるに違いない。
これからは赤い女性に気をつけなければいけない。赤いマニキュア、赤い口紅、赤いスカート、赤いブラジャー、赤いパンティー、それらを身に付けた女性が近寄ってきたらすぐさま逃げなければいけない。一見青い外見をしていても、ブラジャーやパンティーが赤くないとは限らないので、今後しばらくは女性が近づいてきたら、悪いけど下着が赤くないかどうか服をめくってブラジャーとパンティーを確認させてもらおうと思う。これはあくまで自分の不幸を避けるための緊急避難というか正当防衛のようなものなので、そのあたりをよく理解して、オレにブラジャーを確認された女性はどうか痴漢などと勘違いしないで叫ばないでほしい。痴漢のような変人と間違われるのは大変心外なことだ。大丈夫、色だけ確認したら、もしかしたら確実を期すために写真撮影をするかもしれないけど、それさえ終われば去って行くのでどうか安心して泣き寝入りしてくれればと思う。
今書いたことも全てウソです。本当に下着を確認することは決してありませんので、どうかプロバイダーさん、僕の個人情報を警察に渡したりしないで下さい。