自殺ブームとは
まだまだブームは続いているようだ。教師も生徒もなんらかの悩みがあって死んでいるとはいえ、もしこのブームがなかったら自分ひとりで自殺をしていたかというと、決してしなかったと思う。これだけ自殺が報道されて、ブームになっているからこそ「みんなが死んでるから自分も死のう」と日本人的にみんなと同じ、右へならえという思いで死んでいるのだ。しかしみんなと同じというのなら、どちらかというと生きている人の方が多い。みんなと同じで死のうとするのではなく、みんなと同じで生きようとすればいいのではないか。
しかし子供はともかく大人の自殺にはやはり納得がいかない。校長なんて、不祥事があったら責任を取るのが仕事なのに、死ぬことによって全ての責任を部下に押し付けているのだ。死ぬなんて責任を取ることにはぜんぜんならないし、エスケープしながらさらに家族を悲しませ生活費のあてをなくし葬式代も出させ面倒と迷惑をかけるだけだ。死ぬまで、いや死んだ後まで他人に迷惑をかけているのだ。いったい何を考えているのか。
だが、これだけ大人までが相次いで自殺をするというのは、ただブームというだけで理由付けが出来るものなのだろうか? 生死にかかわる重要なことなのである。ただ「みんな死んでいるから」という理由だけで、だいの大人が自ら人生を終わらせようとするだろうか?? もしかしたら、ここにはもっと他の要因が隠されているのではないだろうか??
そういえば、同じく大人であるオレも、最近妙に死にたくなっているような気がする。たしかに、この一連の自殺ブームが発生してから、徐々に徐々に死にたい願望が強くなっている。なんだか人生に対する絶望感のようなものが、自殺などのニュースをネットやテレビで見れば見るほど、自分の中で激しくなっている気がするのだ。
これはいったいどういうわけか。
オレは別に校長ではない。教頭でもない。責任なんて1グラムもない立場なのである。1ミクロンたりともない。なんの責任もない。それなのに、ネットやテレビのニュースを見るたびに自殺したくなってくるのはなぜか。
ニュース……。
ニュースを見るたびに……。
わ……
わかった!!!!!!
そうだ!!! そういうことだったのだ!!!!!
謎は全て解けた。そうか……こんな盲点、いや重大な事実が自殺ブームに隠されていたなんて……。
自殺ブームの報道を見るにつけ、オレたちが見ていたのは単に自殺だけの記事ではなかったのだ。ヤフーやめざましテレビでニュースを見る時、オレたちは別に自殺のことだけを知りたくて見るわけではない。当然のことながら、他のニュースも一緒に見ることになるのだ。
そう。オレや校長たちがこんなにも死にたくなっているのは、他人の自殺報道を見たからではない。その自殺報道の後に流れる、芸能ニュースでの結婚報道を連続して見せられているからなのである!!!!!!!
考えてもみたまえ。吉岡美穂とIZAMの結婚報道だけでどれだけの精神的ダメージを受けたか。
それなりに幸せで平凡な日常を過ごしていた世の男たちは、吉岡美穂の結婚報道でまずごはんも喉を通らないくらいショックを受けるのだ。動揺が激しくがんばってもみそ汁しか飲めないほどになり、徐々にやせ細っていく。しかし吉岡美穂といっても所詮手の届かない存在。グラビアアイドル1人が結婚したくらいで拒食症で激ヤセなんてナンセンスだ。
そうだ。たかが1人のグラビアアイドルが消えただけじゃないか。吉岡美穂の代わりに、明日にでもコンビニに行ってヤングマガジンとヤングアニマルを買って次世代のアイドルを探そうではないか。
そのように、かろうじて希望を取り戻しつつある男たちを襲う第二波が、藤原紀香と陣内智則の結婚である。これは、20代前半の男にとっては特にダメージにはならない。だから、若者はここで死ぬことなくうまく日常に復帰することができるのだが、中年以降の男性にとってはこれは強烈なダメ押しである。せっかくおかゆくらいなら食べられるようになったのに、ショックでヤンマガもアニマルも破り捨て、ますます食欲は無くなりおかゆすら食べたらもどしてしまうようになる。そして日に日に体は衰弱するのだ。
そろそろ家族もただごとではないと気付き、入院させることも考えなくてはと悩むほど校長が生気を失ってきた時、めざましテレビで矢田亜希子と押尾学の結婚を知る。事ここに至っては、もう誰も止められない。オレたちは何も食えず、笑うことも忘れ、フラフラとJR北陸本線に乗って東尋坊へ向かうのだ。
ちなみに東尋坊の崖の上をさまよっていると神田うのと2000億円御曹司、ミムラと韓国人指揮者の結婚報道などが流れてくるが、それには別に悲しみもせず喜びもしない。
さて、いよいよ絶壁まで歩き、あとは眼下の暗い海に身を投げ出すだけだという時に、しかし彼は考える。こんなことで死んでいいのだろうか?? オレにはまだまだやるべきことが残されているのではないだろうか?? まだ、もしかしたらこれから先楽しいことも残っているのではないだろうか???
そうだ。まだ彼にはほんの少しの冷静な心が残っていたのである。最後の瞬間になって、一歩踏みとどまるのだ。あと一歩前に踏み出せば自分の人生に自ら幕を下ろすことになるのだが、その一歩をなんとかこらえる。そしてもう一度自分はどうすべきなのか考えるのだ。
そのように、最後の希望にかけてここで踏みとどまり、やっぱりやめようかな、死ぬこともないんじゃないかな、とやり直すことを決意しかけた彼に背中からドロップキックをかまし、容赦なく崖下に突き落とすのが大橋未歩アナとヤクルトの城石との結婚であった。
そして彼は逝ってしまったのだった……
うーん。
こう考えると、死んでいった人たちのことを責めることなんてできないと思う。むしろ責めるなら、IZAMや押尾学やヤクルトの城石を責めるべきである。マスコミはこの事実をもっと報道して、この悪い男たちをバッシングしてほしい。
オレは今なんとか生きているが、そう遠くない時期にあと1人アイドルが結婚したら、その時は拒食症間違いなしである。そうしたらウエストが50cmくらい減ると思うので、ダイエット成功ということでまあ喜ばしいことである。
拾い物:感じ悪いダースベイダー
コメント
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その後も追い討ちをかけるように、井川遥の結婚があるのであった・・・・
投稿: お初 | 2006年11月24日 (金) 22時11分
最悪パターンです。吉岡美穂、大橋未歩クラスのショックです。かなり冗談じゃない感じです……
投稿: 作者 | 2006年11月25日 (土) 14時34分