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女王の呪い

 ルクソールという町、古代エジプトの王都であるが、ピラミッドがカイロならそれ以外はルクソールであり、超ウルトラミラクル観光地である。ルクソール1都市だけで南アフリカからスーダンまでの遺跡や博物館を全て足したより大きい歴史的興奮は味わえる。

 そのへんの感動は旅行記本編の方で躍動感溢れる文章、流麗な筆致で存分に表現しているので、とりあえずここでは述べないが、いや、でもちょっとだけ述べる。

 ナイル川を挟んで東岸と西岸に分かれているこの観光地は、数日間の滞在ではとても周りきれるものではない。町のある東岸には神殿や博物館があり、ルクソール神殿なんていうのはスフィンクスの並ぶ参道や入り口に立つオベリスクやラムセス2世像、そのスケールには度肝を抜かれエジプトの魔力と魅力にやられるのだが、その近くにはカルナック大神殿というエジプト最大の超巨大神殿があるがために、みんなしてルクソール神殿では「いやー、カルナック神殿を見ちゃったからこっちはたいしたことなく感じるね」とか驚愕の贅沢発言が飛び出すのである。そんなことを言われるルクソール神殿、しかしこのルクソール神殿ひとつだけでももしエチオピアにあれば、おそらく日本から直行便が飛び地球の歩き方も「エチオピア編」が単独で出版されるのではないかと思われる重要、壮大、神聖、美麗な遺跡なのである。

 西岸は本当に何日もかけないと見きれない。何しろ墓だけでも何百もあるというのである。別に神父でも墓荒らしでもないのでそんなに墓ばっかり行ってもしょうがないが、なんとか3世葬祭殿とか、なんとかなんとかとか、なんとかの谷とかなんとかの墓とか、ちなみに王家の谷には60以上のファラオの墓があるのだが、1枚のチケットを買うと5人までの墓に入れるというテーマパーク的なシステムで、公開されている墓に全部入ろうと思ったら王家の谷だけでもまる1日かかると思う。しかもツタンカーメンの墓はどのチケットにも含まれていない、完全な独立料金である。ディズニーランドのウェスタンランド・シューティングギャラリーみたいなもんだ。あのネズミとか箱とか撃つやつ。

 そんな中で一箇所、単なる古代の遺跡で済まされない場所がルクソールの西岸の丘にある。王家の谷より随分手前、ハトシェプスト女王葬祭殿という広々とした遺跡があるのだが、遡ること10年前、1997年にイスラム過激派がここで観光客相手に銃を乱射、なんと60人以上が殺されているのである。

 しかしなんとも不謹慎なもので、オレが実際その場にいて思ったのは亡くなった方々の無念や悲しみということはもちろん考えたのだが、それとは別に、殺された観光客の人の呪いとかあるんじゃないだろうか、というしょーもない考えが浮かんでしまったのである。

 当然「呪い」などとそういう不謹慎なことと考えるのは傷ついた方や遺族の方々に対してものすごく失礼であるし、犠牲になった方を冒涜する許されない考えだ。この痛ましい事件を憎み、悲しまなければならない。それが観光客の義務だ。

 だがそう考えて次に思い浮かんだのが、ツタンカーメンのことである。ツタンカーメンの呪いの話というのは世界中で知られている噂だと思うのだが、それってツタンカーメンに対してものすごく失礼なことではないだろうか??? 彼もたったの17歳にして暗殺されたという説が有力なようだし、ツタンカーメン自身、そして遺族のことを考えても、呪いなんておもしろおかしく言うのは非常に不謹慎ではないか。呪いじゃなくて、やっぱりツタンカーメンに対しても冥福を祈らなければいけないのではないだろうか。

 そもそも、王家の谷自体が墓の集団なのに、手も合わせなければ冥福もくそもなくみんなで墓に入って観光をしているという時点で、とっても死者を冒涜している。まあ3500年前に亡くなったアメンホテプさんとか言われても、実感が全然湧かないからどう冥福を祈っていいのかわからんけど……。というかまあそれだけ昔に死んだ人ならば、既に裁きは出ているだろうから今さらもう冥福を祈る時期でもないと思うが。だいたい、博物館なんておもいっきりミイラを展示しているからな……。死体を掘り出してきて観光客に見せて金を取っているのである。いいのかそれは。

 でも考えてみれば昆虫採集している人とか(養老孟司さんとか)も、同じく死体を集めて、というより殺すところから始めて、集めて殺して死体を陳列してるんだよな……。まあオレも旅先で何百匹という蚊や羽虫やハエの命を奪っているし……。うーん、何を書きたいのかわからないまま話は唐突に終わる。

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コメント

なんとなく分かります、その感じ。
でも蚊は叩きたいし、ミイラも見たい。

そうですね~叩きたいですね~

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